6/16午後2時関西国際空港発アリタリア航空ローマ行きにのり時差の関係もあり19時半にローマに着く。パスポートコントロールを過ぎてローマテルミニ行きの特急レオナルドエクスプレスににのりローマテルミニ駅に。テルミニ駅近くのホテルジェノバで一泊後朝7時50分のローマテルミニ発の特急でフィレンツェに向かう。
特急フレッチャロッサ内で一般向けに配られる広報誌。イタリアじゅうがピッティウォモに注目している。
午前9時15分にフィレンツェについたら今夜の宿、トルナブオーニ通のデラヴィレに荷物を置く。やはりピッティウォモの期間はトルナブオーニ通りにいても美しい服で着飾った服飾関係の人間がめだつ。まず裏地店マリックで裏地を買い付ける。フィレンツェでは恒例となった、アンドレア氏に会い、互いの無事を喜び合い、キュプラ100%裏地を仕入れる。そして旅の最大の目的であるピッティインマージネウォモ86が開催されているメディチ家が作ったバッソ要塞まで徒歩で向かう。フィレンツェサンタマリアノッヴェラ駅の右に公園がありそのなかの小径を抜けると目の前がバッソ要塞だ。ピッティインマージネウォモは世界最大のメンズのリアルクローズの展示会。リアルクローズというのは現実離れした奇異なデザインを競う服でなくちゃんと普通に店で買える、日常で着る服という意味。
今回のピッティインマジネウォモはピンポンがテーマ
会場内ではピンポンの試合場も
こんなパフォーマンスも
入り口近くにレジストレーションセンターがあるがわたしはウェブ上で登録してあるためすぐ入り口に向かう。入り口近くの建物はいつも全体がラッピングでその年のテーマに沿ってデザインされていて 、ことしのテーマは「ピンポン」。軽い運動のピンポンをお洒落に着こなしてということかもしれない。会場内で卓球の会場があって男がピンポンで遊んでいた。
今回のフィレンツェはその前の週までは猛暑だったそうだが薄い雲がかかり、風が吹き抜け気温25度くらいで爽やかな気候で過ごしやすい。サイト内に歩を進め、とりあえずメイン会場に入ると2階の一番奥にどーんとあるクラシコイタリアのゾーンが無い。クラシコイタリアゾーンはいままでピッティウォモの顔とでも言える重要なパートでクラシコイタリア協会がとりまとめているが当初はキトンとかアットリーニ、ルイジボレッリなど重厚でエレガントな「クラシック」ブランド中心だったが入れ替わりが多く近年はこれがクラシック?と疑問符が付くブランドも含まれるようになった。クラシコイタリア協会加盟のブランドは残るがクラシコイタリアの垣根は無くなって、そのかわりにジャストライクアマンという軽食もとれるラウンジが出来ていた。ピッティウォモ事務局による再編と聞いている。これも時代かもしれない。
もともとクラシコイタリアがあった場所にこのラウンジが。
アンティパストや軽食も食べられるラウンジに変身。
この近くで元エルメネジルドゼニア、現在カノニコ社ブルーノランディ氏と再会
ピッティイマジネウオモにはイタリアのメーカー・ブランドを中心に1000を越えるブースが軒を並べる。部屋を細かく仕切った小さな区画から家を一棟使った大規模なブースまでそのブースの形状もさまざまだ。ブースの飾り付けも様々でクルマはもちろんヘリコプターやむかしの飛行機を持ち込んだ大掛かりな物もあるのが楽しい。ピッティインマージネウォモに来たセレクトショップなどのバイヤー達は人気のあるメーカーのブランドに陣取り次のシーズンのオーダーをする。そんな様子をセレクトショップに随行してきたプレスが大型カメラで写真に撮ったり取材をする。現在のイタリアは海外ニュース等で見る通り景気は決してよくは無い。世界で人気のあるイタリアンブランドも決して人ごとではない。あまり売れていないイタリア国内のショップに販売すると販売代金を回収するのも苦労すると聞いたことがある。それにひきかえビームスさんなど日本のセレクトショップやメンズが充実している伊勢丹などが注目してくれるというのはイタリアブランドにとり非常に名誉なことでありまた売り上げにとっても大きく寄与しているのはまちがいない。セレクトショップのバイヤーにとっては次の年のどんなアイテムに人気が集まるかをアンテナを敏感にして、ピッティのサイトのなかで探すのも重要な任務である。1000を越えるブースのなかにはぶるネロクチネリ、キトンのようにおおきいブースにかかわらず人が入り切らないほどの人気のブースがあるかとおもうと。誰も来ないから手持ち無沙汰のスタッフがぽつんといるブースもいっぱいある。この差は一体なんだろうか、注目、人気、好まれる服とそうでない服とはいったいどういった差があるのか?このピッティのサイトで考えてみた。いろいろな要素を煮詰めると下記の3つにまとまるのではないのだろうか。
ブースはこんな感じ。
かっこ良さ
ファッションにおいて最大のテーマはかっこ良さの追求である。スタイルの良さがすべてに優先する。ずどんとした、堂々とした、ゆったりとしたというのは今のファッションでは通用しない。ジムに毎日通っているような鍛え上げられた肉体にぴったり沿ったライン。ミケランジェロがダビデを彫り上げた時代からそんなかっこよさが求められている。ヒトの肉体を引き立てる服のかっこよさこれがまず第一条件。
かっこよさはすべてに優先する。
伝統
ファッション、特にクラシックスタイルにおいては過去の継承、模倣はあたりまえでとても重要な事である。ファッションのモノ作りの現場をささえる工場においてはテーラーで開発された技術をCADなど最新技術に置き換えられる事で過去の縫製技術を継承する。だから実はテーラーで仕立てた味わいを尊重するというのもピッティイマジネウォモに通底する思想である。デニムにテーラーメイド感をだして成功したヤコブコーエンなどが好例。
クラシックスタイルの重鎮ルチアーノ氏の背後にLATEST FASHIONの文字
新しさ
でもそのなかに「新しさ」や革新性という隠し味がないと誰にも見向きもされない。現実に着ることができるリアルクローズの範疇の中で新しさを追い求める。どんな切り口があたらしいのか?使う素材を替えてたらどうか?ディテールを見直したらどうか?クラシックにストリートを加えたり、ラグジュアリーにスポーティを加えたりずらしをいれたらどうか?異国趣味も常套手段だ。そんな試みがうまくいって新しさを醸し出すことができれば成功するといえる。
会場にはおなじみのこんな新しさも