高校ニ年の春休みだったか、親にちょっと出かけると言い残しひとりで原付バイクに乗って1週間の旅に出た。名古屋から旧19号線の心細い内津峠を越えてまず多治見の友人、現在精華医院院長三島直也のウチで一晩お世話になった。そのとき三島にもらったのが一本のカセットテープ。それが「MUSIC FROM BIG PINK」。当時のハードロックなど聞いていた貧しい耳にはよくわからなかったがなぜか引っかかるその曲たちをずっとずっと聞き続けて、まるでスルメの味の如くじんわり良さが分かってきた。その後ROCK OF AGEやLAST WALTZなどを買って聞いていたし、WEIGHTやI SHALL BE RELEASRDはバンドで演奏するときの定番だった。
でもそのカセットテープをやたら聞いていたからか、そのアルバム自体をいままで買ったことがないことをすっかり忘れていた。
今日それを思い出しI TUNESの配信で改めてMUSIC FROM BIG PINK購入。もちろん耳に焼き付くほど聞き慣れた曲だがカセットテープと違ったその美しい音質に改めて驚く。全11曲すべて名曲。すべてハイセンス。1968年発売された当時、ビートルズのジョージ・ハリスンがこのLPを米国でガッツリ買い込み、英国のビートルズのメンバーや友達に、なんたって一番かっこいいロックのアルバムはこれだぜと吹聴したという逸話も残る。リンゴ・スターオールスターの初期メンバーはロビー・ロバートソンを除くザ・バンドのメンバーだったのもその逸話を証明する。ザ・バンドのメンバーはもうロビー・ロバートソンとガース・ハドソンしか残っていない。デジタルとはいえ残された音楽は間違いなく永遠である。