オーダーサロンタナカという名前は昭和40年代に田中羅紗店から田中商事株式会社へ名称変更してそのオーダー部門として先代社長、父、田中茂が命名した。わたしがこの仕事に従事した1980年代の頃は実のところこの名前があまり好きではなかった。そこでせめてスーツにつけるかっこ良くおしゃれなブランド名,例えばイルマエストロとかジャンニベルトーニ（適当に考えた名前）とかにしようとテーラー専門のグラフィックデザインをしていた「テーラーニュース」社の出口稔社長に相談したところ「田中君、ブランド名、店名は名前がかっこいいからかっこよくなるわけでなくかっこいい洋服が先にあって名前が生きるんですよ。」と言われて改めてブランド名を付ける事はやめることにした。
サロンという言葉は元はイタリア語のサローネSALONE。部屋の意味であるSALA（サーラ）にONE（オーネ）をつけると大きい部屋という意味になる。オーダーにお客様が集う大広間、そんな感じなんだろう。
今命名するならならクラシカルに「伝馬町洋服工房」とかイタリア語で「ピュ・ベッロ」(これまた適当に付けた名前）とかにするのだろうが、田中商事がやるオーダーメイドの洋服だからテーラータナカとか田中洋服店にせずオーダーサロンタナカにした父のセンスは今になってみるとよかったとおもう。インターネットで当店のウェブサイトを始めたのは11年前になる。 その時ドメイン名を選ぶ事になって迷わずオーダーサロンという言葉をURLに採用した。
シンプルなURLであるORDERSALON.COM。わたしは昔と違いオーダーサロンタナカという名前にとても誇りを持っている。服の内側に織物会社のタグといっしょに当店のタグを付けている。白に濃い緑に始まっていろいろな色のタグをつくっているが今年は黒にビビッドなピンクとグリーンを追加した。けっこうおしゃれなんじゃないかなと自分では思っている。
