今日は休み明けでキリッとした気分で働きたいのでダブルブレストのスーツを着ている。このスーツは2年前にロロピアーナウインタータスマニアン150`sのロイヤルブルー無地で誂えたもので使っている服地はウインタータスマニアンが130`sから150`sにアップグレードした際にロロピアーナ社から当社に贈呈されたものをダブルで仕立てた。2年前にはロイヤルブルーは一般的ではなく紺と言えばエクストラダークブルーだったので着ていてちょっときがひけたが今はトレンドどまんなかで堂々と着ていられる。

バブルの頃大流行の4ボタン一つ掛けダブルは完全絶滅、それからよみがえったのは正統派クラシカルスタイル。
バブルの頃、わたしの住む名古屋、錦3丁目には肩幅が大きくすそにかけてすぼまったいわゆるソフトスーツの濃紺ダブルブレスト4ボタン下一つ掛けを前ボタンをはずしてだらしなくきこんだ男達が大量に闊歩していた。2タックのパンツですそは長い。それがカッコいいと思っていたのだろうが月日は経過しそんなダブルは絶滅した。4年くらい前からピッティウォモなどではクラシックな正統派ダブルブレストのスーツを見る事が多くなってきた。クラシックなダブルブレストというのは英国チャールズ皇太子の着ているスーツをイメージするのが分かりやすい。ミラノ、アルバザール店主ジーノ氏のダブル姿はメンズ雑誌などで有名で知っている人も多い。当店でも今年になってダブルをオーダーする人が多くなった。とはいえダブルブレストというのはけっして素人がすぐ手を出していいスーツでは決してない。

ダブルは簡単な服ではない。
着こなしには厳格なルールがある。まずノーネクタイスタイルは厳禁。シングルブレストスーツは座った時ボタンをはずしていいがダブルはボタンを外してはいけない。常にボタンをしている必要があるが下のボタンははずしていても可。いつも凛と着こなすべき服なのだ。

ダブルとシングルはサイジングが違う。
ダブルブレストのスーツはシングルスーツよりもぴったりしたタイトなものを着なくてはならない。もともと軍服由来の服ゆえぴったり威厳をもって着るべきであたかも将校のように身体の線がきれいに表現するスーツなのだ。以前はダブルブレスト4つボタン下掛けも流行ったが見る事はなくなり今では6ボタン2つ掛けオンリー。丈も以前より短め。とはいえ流行に乗りすぎて短すぎるのはノーグッドで抑制の効いたサイジングを求められる。衿の幅は今のクラシックスタイルならやや太めの10cm前後に設定する。

ダブルに合う服地と合わない服地がある。
オーダーだとどんな服地でもダブルブレストに仕立てる事ができる。とはいえダブルだと絶対駄目な色柄はある。基本的に伝統柄のみだと考えてほしい。濃紺のペンシルストライプかチョークストライプ。それか濃紺無地。オルタネートストライプは避けた方がいい。基本的にダークカラーしか選ぶべきではない。グレンチェックで誂える人もたまにいるがこれは超上級者といえる。
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これは2年前にあつらえたダブルブレストなので衿幅は9.2cm。今は10cmがベター。