紅葉か。紅葉の季節に紅葉の美しい場所にわざわざ出かける事って53才にもなって無かった。なんとなく木々が色づいてもそれを追う事も無くぼーとながめていたのがいままでのわたしだった。でも季節のうつろいを感じるという気分になって先週長谷寺に行ったのも紅葉を思っての事。今年は遅れているらしく奈良の山深い場所もまだ色づいていなかった。では一週間後はどうかと妻と二人で京都に行こうと思い立った。

紅葉の美しい場所とはどこか。これも重要な問題だ。京都でも紅葉の名所はいろいろある。火曜日、仕事が終わって良く行く名古屋住吉町の立ち飲み屋「平八郎」でたまたま一緒だった男性二人組のひとりが京都の紅葉なら光悦寺ですよ、と語ったのが気になった。

光悦寺。聞いた事がないので自宅に帰りネットで調べてみた。ウィキペディアにはこうある。
鷹峰三山(鷹ヶ峰、鷲ヶ峰、天ヶ峰)を望む景勝地である。江戸時代の芸術家である本阿弥光悦に元和元年(1615年)に徳川家康がこの地を与えた。『本阿弥行状記』によれば、当時は「辻斬り追い剥ぎ」の出没する物騒な土地であったという。この地に光悦の一族や様々な工芸の職人らが移り住み芸術の集落となった。光悦の死後に屋敷は寺となり、境内には光悦の墓碑がある。

それで光悦寺に向かう事にした。まず新幹線を京都駅で降り、地下鉄で北大路まで、バスセンター前でタクシーに乗り光悦寺まで1200円。一般道路に面した入り口からカエデのトンネル。緑から赤にうつりかわる色が美しい。ここは寺というより庭園。本阿弥光悦の美意識に裏打ちされている簡素な庭には美しい紅葉であふれ借景というべきか鷹峰三山(鷹ヶ峰、鷲ヶ峰、天ヶ峰)が背景にそびえる。

朝早く出たためお客も多くいない。こんな素晴らしい眺めをなかば独り占め、縁側に座りしばし景色を愛でる。空気もつんと張った感じで心地よい。これぞエレガントである。 紅葉を愛でるのをまるで狩猟や果物を取るような「狩り」という言葉、紅葉狩りと称するのも日本民族の美意識であると思う。そんな季節を味わう事の出来るような歳になったのかも。
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一般道路に面した入り口
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カエデのトンネル。
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言葉を失う紅葉のみごとさ。
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赤と黄色と緑
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鐘楼
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借景の山と庭の紅葉
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光悦ごのみの竹垣と紅葉。
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苔に映る紅葉の影