10月になった。朝6時から散歩してから母と月初め恒例の墓参。夏の墓参は厚くてしんどいが秋風の中ならさわやかだ。墓石もリズミカルに磨きピカピカして、花を替えてお線香を焚き般若心経一巻を唱えるとすがすがしい気分になる。10月1日は衣更えでもある。街にもネクタイ姿の人が増えて来た。ぼくもロロピアーナトップラインのライトグレーシャークスキンを着てこの日を迎える事にした。
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今年トレンドのラペルちょっと太目のダブルブレスト

この4月から娘が高校に通い始めた。中学は白いジョギングシューズが指定だったが高校には革靴、ローファーで通うらしく、入学式前に革靴を娘と買いに出かけた。安いハルタでも良いと娘は言ったが革靴は手入れさえすれば本当に何年でも履けるしせっかくの人生はじめての革靴であるのでリーガルを薦めた。履きやすいと喜んで高校に通っているが入学から半年経って娘の靴を見てみると親指の付け根の部分の革は黒が抜け茶色になっている。そしてかかとはすり減っている。あーあと思い、馬毛のブラシを掛けホコリを除いたあと仏セフィール社の靴クリームをブラシで塗布ししばらく放置した後、豚毛ブラシでしっかり艶をだした。そしてカカトは松坂屋南店の地下二階にあるヤマザキで直してもらった。なに、いつも自分の靴でやっていることだ。仕上がった靴を娘に見せると、靴が新品になったと目を丸くして驚いていた。これからは自分でやるのだぞと言って聞かせたが僕と同じ事が出来るとも思えない。でもいつの日か物を大切にする心を分かってほしい。物を大切にするということは人も大説にするということに他ならない。

この春、12年来、愛用していた時計ブレゲトランスアトランティックの自動巻のローターが廻らなくなったのに気がついた。手でリューズをまけばゼンマイはまけるが手を振ると感じるはずのローターがまわる心地よい振動が無い。この時計は革ベルトなので夏はベルトが汗で湿って不快なので秋冬春に限定しているし前回三年前オーヴァーホールを大枚9万もかけて行っている。なんとかローターだけ廻るようにできないのかと中区の時計修理店に行ったらこの時計はメーカーにださなきゃ無理と言われた。嗚呼また9万かよとグレイな気分になりながらお客さんに紹介された一軒の時計屋さんに泣きついた。また実はひとつ持っているミネルヴァというアンティークウォッチはもっと悲惨な状況になっていた。或る朝、起きて手巻きのゼンマイを巻こうと竜頭をまわしたら急に長針がすごい勢いでグルグルまわりだし、映画「ポルターガイスト」の如き現象が我が家に起きたのかと驚いた。これは直らなくてもしょうがないと半分諦めながらこの時計も一緒に持って行った。そして待つ事3ヶ月、直りましたとの電話があり先週受け取りにいった。ピカピカに磨き直した時計は正確に時を刻んでいた。修理代金も決して高くなかったのでうれしくなってしまった。再び生き返った道具というのは以前に増して愛着が湧くものでこれからも大事に使って行きたい。これからも僕のおしゃれのパートナーのひとつとして活躍してくれるはず。
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ピカピカに美しく磨かれ、正確に時を刻むようになったわが時計たち。