11月20日、ポールマッカートニーのコンサートから一夜が明けた。東京から家に帰ってきて疲れているが今日思っていることを書き残さなければならない。声は良く歌はすばらしく、そして楽器が得意だという才能に溢れルックスにも恵まれ若い頃から365日作曲と演奏に明け暮れた男ポールマッカートニーはただただ元気ででその喉はただただ強靭だった。齢71で7時過ぎから10時過ぎるまで3時間近いロックンロールのステージをこなす彼は健康的な暮らしをずっと続けていたわけではないのにもかかわらず驚くほど健康な姿をみせつけてくれた。いまさらセットリストをウェブで探すなんて野暮なことはしたくない。ぼくはそんなにコアなファンとは言えないのに演奏した30数曲のなかで聞いた事のない曲はイエローサブマリンに入っている一曲とジミヘンに捧げるという曲だけだった。ポールの曲は世界中で親しまれているし、またファンの気持ちをしってか特に親しみやすい曲を演奏してくれた。すごいのはすべて「楽器を弾きながら」ということ。ベース、エレキギター、アコースティックギター、ウクレレ、ピアノを弾きながら。マイクを握って歌だけという曲は一曲も無い。まさにシンガー、プレイヤー、アンドソングライターだ。こんな人世界にそういないよ。 今後出てくるかどうか。ヨーロッパでも韓国でも中国でも同じようにみんなポールの演奏と歌を楽しんだだろう。まさにeverywhere。

広いドームの客席とスタジアムに当たるアリーナを立錐の余地もなくうめ尽くした観衆はよくありがちな同世代だけの同窓会的な匂いはない。リアルビートルズを知らないというよりジョンレノンが凶弾に倒れた後に生まれた若者も大勢聞きにきている。高校生大学生もポールの歌を口ずさんでいる。親に連れられたちっちゃい子供も見かけた。若い彼らは間違いなく懐メロを歌っているのではなく今の音楽を歌っている。ビートルズでデビューして以来ポールが創造したポップスのフォーマット以上のものは今現在ないかのように。ポールは東京ドームのステージのまんなかでタイムレスな輝きをまるで太陽のように放っていた。
スーパースターである彼と同じ空気をすっている感動はもちろんあったがそれ以上に私よりも16才上のポールマッカートニーの音楽をこれからライブで楽しめる時間はいままで彼の音楽と過ごした時間より長くないが同じ時代を生きてきた幸せを巨大空間のなかでポールの歌を小声でうたいながらたしかめた。
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