洋服屋なら紳士服地を見るだけで仕立て上がった服がイメージできる。またそうでないなら洋服のプロと呼べないだろう。何年も基本的には柄やデザインが大きく変化する事のない紳士服地を触ったりながめたりしているので才能というほどのこともない、グレンチェックならこんな服、チョークストライプならこんな服、ヘリンボンのツイードならこんなジャケットになるということくらい洋服屋ならすぐ想像できる。紳士服地を買い付ける際でもそういうちょっとの想像力を働かせながら沢山のサンプルから選んで行く。その際は季節感だけには注意しなければならない。冬物の買い付けは春のはじめにおこなわれ、夏物の買い付けは秋に行われる。季節によって人間は色の感覚が変わる。だから夏に着ることを強く意識しながら選ばないと、冬色つまり暗い色を中心に選んでしまうことになる。

そうやって紳士服地を選んで行くのだが先日、或る紳士服地商社からの買い付けをしていた中に一種類だけ何に仕立てたらいいかどうもイメージできないコットン&シルク素材を見つけた。TOP WOOLというイタリアのメーカーで織ったコットン60%シルク40%のデニム織りで1mあたり160gという軽い素材だった。通常はそういうものはスルーして買わないのだがのがなにか心惹かれる思いがして、完成品のイメージが出来ぬまま買い付ける事にした。 それ以来それで仕立てるのはジャケットがいいだろうかそれともパンツがいいだろうか逡巡していた。先週末、いつも通っている矢場町の美容室アビアントで店主の伊神さまにカットをされている間にふっとその素材で丈が85の短めでスプリングコートを作ったらとイメージが湧いて来た。白のパンツにボーダーのカットソーを着てその上にさらっと羽織るなんていいではないか。おしゃれ好きの伊神さんもそれはいいかもしれないと相づちを打った。本当はスプリングコートは桜の咲く頃が一番良いのだがいまから仕立てたのでは連休前くらいしか出来上がらない。でも来年用でもいいやとおもい、今、仕立てている。どんなコートになるかとても楽しみだ。

イタリア TOP WOOL社コットン60%シルク40%のデニム織 スペシャルプライス オーダーコート価格65000円(税込)
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コットン&シルクならではのツヤのあるデニム ダークブルー
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コットン&シルクならではのツヤのあるデニム クリーム

今朝も交換してもらったiPhone5を持って名古屋城の周りを散歩、開花したばかりのお花見としゃれこんだ。満開に近い木、まだつぼみが固い木、日当りや場所によっていろいろ差がある。古城と桜はよく似合う。ぼくは夜桜につきものの夜店はイカや串カツの匂いがあたりに漂うので好きじゃないので春の朝のさわやかな空気の中でひとり桜を愛でるのも悪くない。名古屋城を過ぎ大津橋のあたりの桜も美しい。もうすこしあるけば母校名城小学校がある。ここの桜も美しいので有名だがもうすっかり老木となっている。僕の入学卒業、そして息子や娘の入学卒業の時もこの木の下を通り抜けたのだろう。
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名古屋城の堀端の桜
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桜ごしの名古屋城
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名城小学校の桜の古木