羅紗屋つまりスーツやジャケットの素材を販売する店の息子として生まれ育ちいまでも洋服屋として生きていて、服地は身近なものでありつづけている。そんな私がいまあらためて思うのは服地というのはとても面白く、知れば知るほど深いということ。

服の素材の画像はこのブログでもことあるごとにずっと掲載している。しかし写真の画像はあくまでパソコンやスマートフォンの上に映し出される二次元表現であるが実は服地はスリーディメンション、三次元で表現される存在である。色、柄つまり服地の表面に表出されているデザインだけではなく、たった数ミリの素材の厚みのなかにおおきなコンテンツが潜んでいる。表面から奥に見える糸の色合いの奥行き、触れたときの感触、透け具合、ドレープ感とも言われる、波打たせた場合の状態、糸一本づつのツヤ感、立体物としての表面感など数え上げればきりのないほどが服地の厚みのなかには「味わい」と表現される物が含まれている。だからある程度厚みのある素材というのは服にとって重要な事なのである。
リネンツイードというウール69%シルク16%リネン15%をざっくり綾織りにして270g織り上げた春素材がロロピアーナ社より入荷した。イタリアのロロピアーナという会社はおしゃれの本質を理解している会社だとこの「リネンツイード」という素材からもわかる。秋冬素材と違い、春素材だと涼しさ軽さを求めるゆえどうしても薄い素材になりがちだが、ジャケットの味わいを足すのにどうしても必要な厚みを春物で表現しようとロロピアーナ社はこのリネンツードで意図した。短繊維で保温性のあるウール、長繊維で細いシルク、短繊維で太く保温性のないリネンと特性のきわめて異なる3種の原料をくみあわせ春素材ではなかなか実現できなかった「厚み」が表現できていて、それでいて春に着用して十分快適にしあがっている。ここでわかるのだがこのリネンツイードという名前はは伝統的なツイードという意味ではなく、「ざっくり厚みのある素材」という意味で「ツイード」という言葉が使われているのがわかる。おしゃれな春ジャケットをお探しの方は一度このリネンツイードを選択肢にいれてみてはどうだろうか。本バス毛芯仕立てでもいいし、アンコンでもいいだろう。この素材を仕立てたらきっとあなたの春の装いを際立たせるジャケットになるはず。

イタリア製 ロロピアーナ社 リネンツイード オーダージャケット価格 62000円(税込)

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ブラウンのチェックはツイードらしさを表現するのにいちばんふさわしい柄かもしれない。
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ブルー系チェックだがなかにピンクのチェックを挿してある。これならブラウン系とあわせてマローネ&アズーロとして楽しんでもいいかもしれない。
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自然なグリーン系のライトグレーにグリーン系のウインドペン。
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アイアンブルーつまりグリーン成分の入った紺をベースにしてウインドペンが入っている。ブルーはまるでダメージデニムのようなメランジェになっているのがこの素材のよさでもある。 
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ブラウンのざっくりした無地、ホップサックそしきで良い味わいを出している。
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ベージュとグレーの中間である、いわゆるグレージュの無地。仕立ててはじめてそのおしゃれさがわかる素材かもしれない。
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リネンツイードは今年のロロピアーナの春夏バンチサンプル「プロポステ」に所収の素材です。