エスコリアルという素材を見つけた。エスコリアルウールと北アフリカはモロッコ南部アトラス山脈が原産地のミニチュアシープの羊毛。スペイン、マドリッドから45km離れた街に王立サン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアル修道院と広大な宮殿、修道院、博物館がある。エスコリアルウールは16世紀以来そこで飼育され王侯貴族のみが着用を許された門外不出の羊毛だった。その後ナポレオン戦争にともなうスペイン王国の衰退とともに絶滅したと思われていたが、当時スペイン王国は親族や他国の王族に向けての贈り物としてこのミニチュアシープを贈っていてその末裔の純血種がタスマニアとニュージーランドで生き残っていた。現在この原毛は英国の紡績会社が幹事役となりエスコリアル協会を作りリード&テイラー、テイラーロッジ、ジョンフォスターなど6社のみ原毛を供給しこのエスコリアルという素材の正統性を保っている。
どうしてもこういった希少ウールを見ると買い付けたくなる。サンプルを触ってみたところ手触りはスパンカシミアにも似た柔らかさとぬるみがある。今回は英国リード&テイラー社で織られたエスコリアルウール100%のウーステッドジャケット素材を2色試験的に買い付けた。秋冬の時期には届くがどんなジャケットになるか今から楽しみだ。価格はオーダージャケット価格128000円(税込)になる予定。
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エスコリアルジャケットのバンチサンプル
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買い付けた一つ。自然な2色のブラウンで織られたヘリンボン。バンチサンプルからも素材の良さが伺える。
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買い付けたもう一種類。濃紺に見えるがハウンドトウースの織り柄が入っている個性的な素材。
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エスコリアルウールの説明文