先月当店のシャツの縫製を担当する工場にでかけた。瀬戸内大橋を望むおだやかな海に沿った風光明媚な場所にその工場はある。当店のシャツはコットンに限ると考えている。この工場は「シャツはコットンに限る」とシャツに対する思いを当店と同じくする基本コットン100%シャツのみを扱う縫製工場である。工場内では以下の工程を分業で80人ほどのオペレータさんが行っている。

ロールで入荷した服地を一着単位に裁断。
テーラーが書いた指示書をパソコンに入力
パソコンに入ったデータを元にCADで裁断
32パーツに分かれたカラー、スリーブ、ボディを作る。
パーツを合体するため縫う。
検査
仕上げ
たたむ

工場としては既製品とオーダーメイドを混在して作ったり、さまざまな仕様や素材を混在してつくったほうが営業的、ビジネス的には良いかもしれない。でもここは既成品のシャツは縫わないオーダーメイド専門の縫製工場。衿の工程は「フラシ」と呼ばれる衿の際を縫い付ける製法のみ。デパートのオーダーシャツ売り場であつかう樹脂接着剤で固めたようなトップフューズ芯は使わない。脇縫いはチープなシャツによく見られるロックミシン縫いや作業服などに見られる二本針ぬいではなく、縫い目を触っても手触りのいい「巻ぶせ縫い」の手法ですべてのシャツは縫われている。毛芯仕立てをがんこなまでに続けている当店のスーツ、ジャケットを縫う工場と同様、CADを使うことで指示に正確に裁断し、そして伝統的な手法工程を厳格に守る「品格の高い工場」だった。

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CADの入力
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基本CADでカットするが難しいオーダーは手裁断
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袖の製作
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重要な脇縫い
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これも脇縫い
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当店のラベルを縫いつけています。
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仕上げ工程は一人が担当
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たたむのも高度な手作業。