さきの日曜日、古い友人キタがメンバーのバンド、ハートオブマインドの35年ぶり再結成ライブがあるというので今池パラダイスカフェに出かけた。ボトムラインをニューヨークから名古屋に呼んだ男、ユッカのケンロウがボーカル、キタはリードギター、凄腕ベーシストのヤギ。 わたしが19の頃このバンドにすこし入っていたことがある。わたしはたいしてギターもボーカルも上手くなかったが近所の大学でも入ってこのバンドにいてなんとかロックの周辺にしがみついていたいというしょうもない夢をもっていた。そんなことで食えるわけもないと見かねた父親が千葉の大学を強く勧めた。ダメな息子にすこしは変わってもらいたいということだったのだろう。
わたしはそれを強く拒否しつづけること十数日、ある瞬間ふと、あんまりダダをこねるばかりでなく、一度くらい親の言うことを聞こうかなという気になり、千葉の大学にいくことになった。だからそのバンドとも泣く泣く別れを告げることになったわけ。ただ切り替えは早い方。千葉の大学に着いたらすぐにロッカーっぽい長い髪を切りこざっぱりした。部活もゴルフを始めたのでデニムもあまり履かなくなった。妻ともその大学で知り合ったのでその決断が私の生きる道を大きく変えたことになる。父親が思った通りに。
日曜日はロッド・スチュワートの「HOT LEGS」ジョー・コッカー「FUN TIME」 デイブ・メイソン、ローリング・ストーンズなどその頃演奏したナンバーばかり演奏した。いいライブだった。当然ステージに立つこともなく観客席で大人のロックを楽しんだのだが、人生の分かれ道はあの瞬間だったんだなあ、そのときの自分の風景を見ているような気分だった。
ハートオブマインド、LIVE AT PARADICE CAFE