あとすこしで新しい元号が発表される4月1日。いい天気になった今朝、父が死んで以来24年ずっと続けている月初めの墓参を母と共にでかける。

錦の家から墓地のある覚王山までの道すがら、ぶかぶかの黒い学生服に身を包んだ新中学生と母親の姿をクルマのフロントガラスから見る。たぶん母校東海中学の入学式に向かうのだろう、今母校は医学部進学が全国一だそうだが、わたしの時代も多くの同級生が一流大学に入り、医療関係そして大会社、法曹界に進んだ。いまも名誉ある人生を歩む人たちばかりだ。
多くの友が東京に行ったが、わたしはいわば落ちこぼれ組。40年前地元名古屋に残り、当時傾いていたテーラー向けの紳士服地店を閉め、父とともにテーラーをはじめた。新米テーラーとしてつらい仕事を長年続けた。その後世界の良い毛織物会社の服地をじっくり選び、柴山登光氏の型紙を本バス毛芯を使い、ひとつの国内工場で仕立てるのがいい服をお求めやすい価格で提供できる唯一の道だと発見し、これを信じてそれだけを続けている。昨日の午後に来店された20代の若者にタナカさんの服を着ていくと多くの人に褒められ、着るとテンション上がります。と言われた。まさに洋服屋冥利、洋服屋になってよかったと思う瞬間。
最近はオーダーブームとやらで、東京のハンドメイドのテーラーや大手セレクトショップの記事がメンズファッション雑誌に踊る。基本的にメンズファッション雑誌はすべて「コマーシャル」、当店はお金を払って記事を掲載していないので当店のことなど一切掲載されない。でもそウェブサイトやこのブログを見つけ多くのお客様が全国からご来店いただいている。
48年前母校東海中学に合格して入学する朝、ここに行けば早慶など簡単に入れるはずと父は期待を込めてか笑顔で言った。その後、父の思いとは違って一流大学&一流会社の人生ではなかったが還暦まで今日の青空のような人生を送ってきたなあと感じた朝だった。
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晴れやかな春の青空
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桜もう満開。