先の土、日曜日にもご来客が多く、本当にありがたいと感謝しております。
土曜日の朝、開店してすぐに若いお客様がお越しになりました。聞きますと成人式用のスーツをオーダーされたいとのこと。当店では今年中に納品できる「年内納品」は11月下旬に完了。今は出来上がりは来年1月下旬となり、お正月からセレモニーのある成人式にまにあうよう年内に納品ができません。せっかく探して当店に来ていただいたのにお役に立てず、申し訳ない気持ちで頭を下げてオーダーをお断りいたしました。
そして午後2時頃お母様とお子さんのお客様に来店いただきました。ネットで見つけて評判が良さそうだから成人式用にスーツをオーダーしてくださいとのこと。せっかく来ていただいたのにこれまた、残念ながら泣く泣くお断り申し上げました。どうしようかと親子二人でほとほとお困りでしたので、優しいマエストロ西村は、中国縫製のため納期が早く今年中に間に合う他のオーダー店を紹介していたようです。それからもう一本お電話でも成人式のためのスーツのご打診がありまして、こちらも丁重にお断りしました。
さすがに我々も3着のオーダーをスルーせざるをえないことで洋服屋としてちょっと気分はこたえました。こういう場合やはりなんとか工場が納期を早めてくれないかなあと、つい考えてしまいます。とはいえ、ずっと40年以上、日本国内の毛芯縫製専門工場一社で本バス毛芯のオーダースーツのオーダーを続けてきました。仕事を急がすことで、工場に無理をさせて、まじめに働く技術者さんたちの労働環境に悪影響を及ぼすのはよくありません。その工場はオーダーサロンタナカ専用工場ではなく日本のさまざまなお店やテーラーさんからの依頼の洋服を縫っています。当店だけがワガママを言うことは無理が生じてくる恐れもあります。またていねいにつくっている生産ラインにストレスを与え、服の出来上がりが悪くなるのはだめです。
日本で数すくないこの毛芯縫製専門オーダー工場がていねいに仕立てていますので時間がかかります。当店はこの納期を守り、美しく着やすい洋服を作り続けるのをポリシーとして守り続けていきます。おまたせしておりますがなにとぞご理解くださいませ。
当店のスーツをすべて縫っている縫製工場で。毛芯を据える前のしつけ縫い。