先週「パンツの後ろが縫ってありません。」とスーツを一度納品したお客様が不安なお顔で再び来店されました。もうひとりのお客様は「まだ一回しか着ていませんがパンツの後ろが裂けてしまいました。」とお越しいただきました。

これは明らかに当店の説明不足でした。まことに申し訳ありませんでした。

当店で仕立てたパンツは後ろ身の上に3cmほどスリットを施してあります。縫ってないわけでなくちゃんとひと手間、ふた手間かけて腰裏地も内側に入れて処理しています。
わざわざこうしているのには理由があります。ひとつはパンツのウェストをカーヴのついた人間の腰のラインに自然にフィットさせるため。そしてパンツにベルトを締めてもシワを柔らかく逃すためです。この手法はヨーロッパの洋服から学び、そんな理由でスリットが入っています。15年前から標準仕様でそうしています。なにとぞご安心くださいませ。
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パンツの内側からスリットが確認できます。
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スリットが入っているため、ループの上の方は留めずに「フラシ」で仕上げています。

もうひとつ当店のパンツのジッパーの中の内側のボタンは2つ付いています
これはイタリア・ナポリのパンツなどの内側に、「パンチェリーナ」といってお腹の形を安定させるためのパーツが付いていてそれに2つボタンがついているのからこれも15年前に学びました。お腹の形を2つのボタンでちょっと整えておくとパンツの形がきれいに見えるというちょっとした配慮です。2つボタンをはめるのが面倒かもしれませんが、おしゃれのためです。お手数となりますがどうかお使いくださいませ。

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このボタン2つとも留めていただくとお腹がちょっとだけきれいに見えます。
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ベルトのバックルの爪を通してベルトを安定させる「バックルループ」も標準仕様で付属しています。