さきの水曜の午後はあいにくの雨。店でちょっと仕事をしてから髪を切りに30年以上ずっとわたしの髪を切ってくれる伊神さんの美容室「アビアント」へ。髪を切る前に洗ってもらいながらふと壁を見ると白黒の渋い写真のオリジナルプリントが掛けてあった。それはお店が開店した時お客様からお祝いにもらった額縁らしい。どこか見たことがあるなとしばらく眺めていた。写っている場所がどこかを。
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これが「アビアント」の壁のモノクロ写真

1月ピッティウオモの帰途にウイーンに立ち寄った最終日、クリムトの有名の「接吻」やエゴン・シーレなどがあるベルベデーレ宮殿へ行く。
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「ヴェルベデーレ宮殿」内の有名なクリムト「接吻」
見応えあるコレクションを堪能しながら宮殿から庭にでるとこんな景色が、あ!ここは「去年マリエンバート」のロケ地かと思ったが、帰宅後調べたら違っていた。
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「去年マリエンバートで」の場所だ!と勘違い。でも似てる。
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これが「去年マリエンバートで」の本物(ネットから引用)

この宮殿の敷地は南北に長く、庭を下りていくと市街地に近い場所に出る。そこからタクシーを拾おうとしてもタクシーがなかなか見つからず、周辺をさまよったときカールスプラッツ駅の前を通った。そのカールスプラッツ駅がアビアントさんの写真の建物だった。その時どこかで見た建物だなあと「デジャヴ」を感じたが、アビアントさんの写真で長年ずっと見ていたのがその「既視感」の理由。オットー・ワーグナー設計のウイーン世紀末芸術では重要な建築だそうだ。ウイーンで見た景色と「アビアント」の中の写真が急にひとつにリンクした不思議な気分だった。
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ヴェルベデーレ宮殿から庭園の坂を下ればウイーン市街に出る。

「アビアント」を出て小雨の栄を歩いていたら、ふと早く咲くサクラを見つけた。春の足音に気づいた。
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花びらから雨がしたたるサクラの姿がけなげ。
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栄にもサクラが咲いているのに気づく