昨日の日曜は夏物オーダーが始まったばかりで、雨の一日でしたがありがたいことに多くのおなじみのお客様がおこしになりました。昼過ぎでしたか初めてのお客様がおひとりでご来店いただきました。服地を決めていただいてサイジングそしてスーツの細部を決めてから雑談をしていますと、岩手県からの方とのこと。わたしは一度だけ岩手県盛岡市にいったことがあります。お客様とお話ししながら20数年前の思い出が蘇りました。

大手製薬会社名古屋支店の方が岩手に転勤されたので洋服を作りたいとのことで出張したのです。お客様に恵まれて忙しい日々をすごす今とは違い、その頃まだオーダーする方も少なく、お客様からお声がかかると大きなトランクに服地と採寸ゲージを詰め込んでどんな遠方へでも出かけていったものです。

まだ中部国際空港がない頃、いまは愛知県営空港と呼んでいる名古屋小牧空港からJAL便で岩手花巻空港まで飛び立ちました。短い時間のフライトのあと着陸する直前、この空港がたしか松任谷由実のアルバム「悲しいほどお天気」の中の一曲「緑の街に舞い降りて」のモデルになっていることを思い出しました。飛行機のちいさな窓から下を眺めると、緑の田園が広がり、小さな家が点在してその中を舞い降りていくことがまさにユーミンの歌どおりだったことを昨日のように思い出します。花巻空港から約一時間バスに乗り、盛岡の町に着いて、お客さまと再会しオーダーをいただきました。その夜は三陸の美味しい海の幸をいただきながら美酒を飲み、冷麺でシメました。朝起きて二日酔いのねぼけまなこから見た岩手山の美しくも雄々しきながめを忘れることができません。

昨日来たお客様に聞きますと、いまでも花巻空港ではこのユーミンの歌がテーマソングになっているそうです。コロナが落ち着いたら、花巻空港から盛岡へ、思い出を反芻しに出かけたいな。

夜、部屋でネットで楽譜を探して、独りギターでこのうた「緑の町に舞い降りて」を爪弾きながら涙腺が弱くなったのをあらためて実感。どうでもいいことですが。

「モリオカというその響きがロシア語みたいだった」というフレーズが印象的。
今はいい時代、ネットでコードがすぐわかります。ただあくまで独りで爪弾く個人的使用です。