フランスは農業国でもある。日本では北海道で見られる緑のうねった豊かな農地を車窓から眺めること46分、パリ東駅からTGVでシャンパーニュ地方の代表的な都市のひとつランスに着いたのは午前10時前。

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初めてのTGV

昨年シャンパーニュの第一人者、阿部誠グランソムリエからランスのことを聞き、ピッティウォモ出張のついでに行きたかった街。シャンパーニュだけで行くことに乗り気でなかった妻だったが、好みの画家の一人、藤田嗣治ゆかりの街だと知ると俄然行く気になったようだ。
知り合い一人いない街に立つ澄んだ空気の広がるようなあの感覚はグループ旅行に背を向け自分の足で旅する人しかわからない。不安は期待へのスパイス、地図でのみしか知らなかった街のスケールを知るには散歩。
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ランスの街

仏王の戴冠式も行われたランス大聖堂までは徒歩15分。ファサード、天井、内陣そしてステンドグラス噛み締めながら見るとこの偉大なゴシックにひいおじいちゃんの前の前の前からか何世代この建築に費やしたかと考えるとスーッと気が遠くなってくる。
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ファサード ランス大聖堂

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ゴシックの天井と柱
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後ろから
その後 タクシーで10分のシャンパーニュのメゾン「Pommery」に。まるで有力貴族の大邸宅のような館に期待で胸はふくらむ。caveと書いた大きな扉を開くと真っ暗な闇の地下に斜め45度で向かう大理石の長い階段が。闇には閃光が走り、正直作り物の遊園地など比ではないスリリングなエクスペリエンスを予感させる。閃光に導かれ地下に降りると石灰石の地層をくり抜いた大伽藍いくつもある。壁には辛口のシャンパーニュを創始したポメリー家の偉業の彫刻が刻まれている。地下にはまるで鍾乳洞の如き空間と地下道があり無数のシャンパーニュがエイジングのため眠っている。糖度の低い葡萄をいかに素晴らしい琥珀液にするかは阿部ソムリエから学んだがその現地を見た後の泡の優雅な味わいはことさら身にしみました。
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Pommery 外観
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Cave まさに洞穴

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謎の閃光が走る地下への階段

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大伽藍の彫刻
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ヴィンテージのシャンパーニュ

ランス市内の可愛いレストラン「le Cripto」でのランチ後、シャンパーニュのメゾン「MAMM社がパトロンとなり築いたフジタ礼拝堂に。冬場は閉鎖で素朴な建築の小堂を外から見るだけだったが波乱に満ちた藤田嗣治の一生を改めて思い返した。
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可愛いレストランle Cripto

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フジタ礼拝堂

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フジタ礼拝堂のステンドグラス
ランス美術館にはフジタの部屋がありフランス人もじっくりフランスと日本に生きた藤田嗣治という人の傑作のかずかずを熱心に眺めていた姿に日本人としてうれしい気持ちになったランスへの小旅行でした。
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ランス美術館 フジタの聖母子

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ランス美術館 キリストの磔刑

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ランス美術館 地獄絵だが剽軽さもある。

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ランス、いい街だったなあ。駅前の公園で。