当店のオーダースーツ・ジャケットにはキュプラ100%裏地しか使わない。
キュプラというのはコットンのうぶ毛であるコットンリンターを原料に銅アンモニア法で作られる天然由来の長繊維でありレーヨンより強く、安物のポリエステルと違い通気性、吸湿性もある。コストを度外視してもキュプラ100%を使うと衣服内環境つまり着心地が良くなる。
フィレンツェの中心街にあるキュプラ100%裏地専門店「マリック」とずっと取引していて、今年もおしゃれなキュプラ100%裏地を買い付けた。イタリアの洋服はなぜか伝統的に裏地にビスコースつまりレーヨンが使われていることが多いがレーヨンはキュプラに比較して強度が落ちる。「マリック」店主アンドレアはフィレンツェのハンドメイドテーラーにいい裏地を供給したいというこころざしを持ちキュプラ100%しか扱わない。きれい好きで、オシャレでそして高いこころざしを持つアンドレアとは馬が合い、もう長く取引を続けている。ことしもピッティイマジネウォモの初日の朝早く、バッソ要塞が開場する前に「マリック」にでかけ、お互いの家族の近況やイタリア、日本のモード界の現状などを語りながら素敵な裏地を選んだ。
今回はいつものビビッドな無地に加えて、ストライプ裏地を何種類か選びそして前回人気のあったチェリーブロッサムの裏地も追加した。 秋冬のスーツ・ジャケットを美しく彩ることになるはず。
マリック店主アンドレアと 2016/6/13撮影
アンドレアの奥様フランチェスカと 2016/6/13撮影
以下の画像が新入荷したフィレンツェマリックのキュプラ100%裏地。当店のスーツにフィレンツェのテイストが加わりデザインだけでなく着心地もアップするから不思議。カッコの追加料金でお使いいただけます。現在円高ユーロ安でマリック裏地追加料金が少しお安くなりました。
美しいグレーペイズリー裏地(プラス税込5000円)
美しいグリーンペイズリー裏地(プラス税込5000円)
ネイビーペイズリー裏地(プラス税込5000円)
追加したビビッドな無地裏地(プラス税込4000円)
マルチストライプ レッドミックス(プラス税込5000円)
マルチストライプ パープルミックス(プラス税込5000円)
マルチストライプツイル ブルーミックス(プラス税込5000円)
マルチストライプツイル グレーミックス(プラス税込5000円)
昨年好評だったブルー系チェリーブロッサム柄(プラス税込5000円)
昨年好評だったパープル系チェリーブロッサム柄(プラス税込5000円)
当店がロゴ付き裏地を使わない理由をもう一度お話します。
当店ではメーカーのロゴがジャガード織りで入った裏地はオーダースーツに使用していません。
ロロ・ピアーナ社、エルメネジルド・ゼニア社、ドーメル社素材も正規代理店からの買い付けでロゴ入り裏地を買い付けすることは簡単です。しかしスーツは基本的にアノニマス(匿名)の存在で名前入りのものはいれるべきではないというヨーロッパに伝わるクラシックスーツの不文律に従いお付けしません。ロゴ入りの裏地は日本のバブル華やかな頃、トイレのスリッパや足ふきマットでもなんでもかんでもブランド名を付けた時代に日本のデパートなどのニーズで作られたものです。表地は毛織物メーカー、裏地は裏地メーカーがその品質を保証するのが正統(クラシック)です。追加料金無しで品質の高さから世界トップシェアの旭化成のキュプラ100%(ベンベルグ)が付きます。更にいい素材がご希望でしたら今日のブログに書きました、セミナーラさんのようなイタリアの優秀なサルトが使用しているフェレンツェマリックの裏地をわずかな追加料金でお使いいただけます。