倉敷には45年前中学の修学旅行で行った。ずいぶん前のことなので細かい記憶はないが、街並みと美術館に強い感銘を受けたことだけは覚えている。それからなぜか縁なく倉敷に訪れずにいたが先の水曜に岡山に出張することになり午前中時間をみつけ倉敷大原美術館に行くことにした。JR岡山駅からローカル線で4駅目、倉敷駅から大原美術館まではバス。折からの台風で空はどんより曇り、ときおり強い風が吹く時間帯に目的地到着。裏門から入るとヘンリー・ムーアとイサム・ノグチの彫刻が目に入り、本館を目指す。本館の入り口に着いたら、どこかで見たことがあると思い記憶をたどるとミレイのオフィーリアを見に行ったテートブリテンに似ている。創始者がテートを意識したのかもしれない。中の印象派を中心とした西洋絵画のコレクションをじっくり楽しむ。絵を楽しむことはもちろんだがこれらの絵を中学生のわたしがどんな気持ちで見ていただろうとついつい考えてしまう。日本館には民芸運動を率いた濱田庄司バーナード・リーチなどの陶芸を見ながらこれを器でごちそうを食べイッパイ飲むときっと旨いにちがいないとよこしまな欲望が頭をもたげる。
美術館で絵を見ることが好きだが長時間見ていると絵のイメイジが頭に広がり疲れてくる。2時間半を経過してそとの街を散歩することにした。にじり口を意識したかもしれない小さな美術館の門をでると前の粋な石橋の向こうに陶器の瓦が葺かれた豪奢な日本家屋が見える。そして川に沿って雰囲気のある街並みが続く。折しも台風の雨風が吹き付ける中でも内外の観光客の多さには驚くがこんな美しい場所を見たいと思う人は多いと納得する。 ほとんど無いはずの記憶の中の街より美しかったことは間違いない。きっとこの間にも倉敷の人たちは街を美しくする努力を怠らなかったのだろう。
テートブリテンに似ていると思うのは僕だけ?
似てると言えば似てる。テート・ブリテン2012
美術館からの眺め
蔵の街倉敷
花より団子ままかり寿し。