昨年11月から休みのたびに妻の実家の面倒を見に浜松に行っています。妻の実家には庭があり、松や梅など木々が育っています。春2月には梅は白く美しい花を咲いてそして5月にはたわわな青梅が実ります。どんどん育って落果しますので傷んでない実を拾ったり、木からもいだり、今まで都会ぐらしでは経験できないことをしています。

まとまった数の梅の実がとれますので、知り合いにあげたりもしていますが、梅には仁(種)に微量の毒があり加工をせず食べることは避けられています。だからその毒を処理するため梅干しや梅酒などに加工しているのです。自分たちでもなにかこしらえようと梅シロップを仕込んでいます。同量の氷砂糖と少しの酢をガラス瓶に入れてから3週間。梅の味も馴染んでガラス瓶のなかで発酵もした梅シロップが飲めるようになりました。


今週その梅シロップを炭酸で割って飲んでみました。上品な酸味と甘味があり美味しい飲み物です。でいただいていたら、とつぜん浜松の実家の風景が脳裏に蘇ってきました。その飲み物の薫り、味は間違いなく浜松の実家の空気の薫り、土の感触、陽光の匂いそのものだったのです。
ワインの世界で「テロワール」という言葉があります。テロワール(Terroir)とは、フランス語で「土地」や「風土」を意味する言葉。ワインをはじめとする農作物の味わいが、その土地の土壌、気候、地形、そしてそこに根づく人の営みといった環境要因によって決定されるという概念を指します。たとえば同じブルゴーニュで、同じブドウ品種を使っていても、ブルゴーニュの異なる区画(畑)で育ったブドウからは全く異なる個性や味わいのワインが生まれます。これが「テロワールが表現されている。」というそうです。
その梅シロップの味わいのなかに含まれる浜松の実家のヴィジュアルイメージがテロワールなのでしょう。ブルゴーニュにもボルドーにもナパ・ヴァレーにも訪問したことはありませんが「テロワール」の意味はそういうことなのかなと自分なりに理解したつもりになりました。

