昨日の休み、思い立ってスマートでひとり長谷寺へ向かった。長谷寺は友人のスギハラが住職している知多八十八カ所巡りを開いた「妙楽寺」の本山であり縁ある場所だと感じている。長谷寺には昨年の震災の直後に出かけた。まだ原発の収束が見えていなかった時、日本が一体どうなってしまうのか心細い思いで近鉄アーバンライナーに飛び乗った。有名な登廊を登っていき本堂の身の丈10m以上ある黄金色に輝く観音様の足を触りながらこれからどうなるだろうとおすがりしたことを覚えている。3月なかば寒い日で雪が舞っていた。

そんな思い出のある長谷寺にまた出かけたのは新聞テレビなどの記事があまりにも殺伐としているから気持ちがふさいできたのをなんとかしたいとした思いから。そろそろ初瀬のお山は紅葉で色づいて来たのではという期待もあった。朝10時にでて東名阪、名阪国道は何カ所か渋滞があり2時間半以上かかった。名阪の針インターをでて坂をどんどん下って行く。道をまちがったのではないかなと思いながらしばらく進むと「瀧蔵社」との看板があった。前に読んだ植島啓司著「日本の聖地ベスト100」に記述があるのを思い出し寄り道することにした。クルマ一台やっと通る細い山道を不安な気持ちで登って行くと急に視界が開け美しい山並みが眺める丘にでてそしてしばらくすると瀧蔵神社に着いた。神社自体は普通の神社だがやはり緑の海のなかにぽつんと存在し周囲に巨石の遺構などがありまちがいなく聖地の風貌をそなえる。由緒をしるす看板にここを参らずに長谷寺を参るのはご利益半減と書かれていてもともとは長谷寺の奥の院だとのこと。誰もいないところにひとりで来るのはわくわくもする。それから5分ほど走ると長谷寺に着く。
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瀧蔵神社
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瀧蔵神社からの山並みのながめ
長谷寺はみごとな山岳寺院。創建は奈良以前だとのこと。伊勢神宮とも縁の深いお寺で16世紀以降は覚鑁(興教大師)によって興され真言宗豊山派の本山となり徳川家の信仰も篤かった。屋根のついた階段、つまり登廊を折り返し登って行く。普通は石段だが屋根がついているぶんエレガントな雰囲気で周りの花もそのエレガントさを引き立たせる。本堂は清水寺のように舞台がありそしてお参りするスペース、ご本尊の10mを超す黄金の観音様が鎮座まします壇とまさに江戸の大建築といえる。この時期は観音様の拝観も行われ内陣に入り観音様の足に触れる事もできる。まわりの自然も美しく、ここに来るとやはりなにかほっとする。

山門をでて階段をおりると門前町が続く。名物の草餅を臼でついていたので見ていると大量のよもぎを入れて一生懸命突いている。熱気にうたれ、生のと焼いたのを10こづつ家族のみやげに買った。 

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長谷寺山門
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長谷寺 登廊
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長谷寺 本堂
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本堂から
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長谷寺 五重塔 紅葉までもうすぐ。
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参道で草餅をつく
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長谷寺参道 焼いた草餅