35年前になるだろうか。私の入った大学は千葉の柏市にある外語系の小さな大学だったが、当時はイギリス語学科(英語学科でなく!)ドイツ語学科、中国語学科と一学年が90人ほどで全員寮に入っていた。学校からすこし離れた場所の桜並木を歩いた場所に大食堂があってカフェレテリア式で案外こころのこもった料理を学生らのために出していた。そこでだいたい寮でとかクラブでとかクラスでとかまとまって食事をするのだが、入学してしばらくわたしはクラブに入るのを躊躇していたし、クラスは付属高校から上がって来た連中がまとまっていて名古屋から何の縁も無く入ったものにとっては完全にアウェイだったので仲間にあぶれることがよくあり、誰かといっしょに食べないと誘うのも嫌でよくひとりぼっちで喰っていた。わたしはそんなヒトリメシをクラブの先輩のめしつぎもすることなくすきな柴漬けなど漬物を添えたりしてちょっと自由な気がして自分では悪くないと思っていたのにもかかわらず、独りで飯を食う奴は変人と、付和雷同しか出来ない同級生は陰口を叩いた。同級生ではないがニューヨークに住んでいる事だけが自慢でアーチストぶりの上手な坂本龍一も同じような下司な奴らのひとりで、ウェブで堂々とこういっている。「学生の時に、学生食堂で一人でご飯食べてる人いるわけ。男とかで。きちんと食べてるんだけど、それを見ると僕、すごく不愉快なのね(笑)。」まあわたしにとっては鈴木茂さんと細野晴臣さんだけがヒーローなのだから坂本龍一なんかどうでもいい。

いまでもひとりめしが好きなのは変わらない。日常は家族とか取引先とか友人で飯を食べているがふとひとりになるとわくわくする自分がいる。夏、こんな暑い時期には酢飯が食べたくなる。今日もお昼になにもすることがないのを見計らって寿司幸さんにでかけた。のれんをくぐると客の姿を見ると本ワサビを摺にかかる。お寿司というと陶器のお皿に盛られたきちっと仕事をしたお寿司がでてくる。ほとんどしょうゆも刷毛で塗ってあるためそのまま食べられる。昼にはサービスにアラ汁もついてくる。これで1300円はまさに安すぎると思う。今日は贅沢してネタケースに入っていたタコを塩でにぎってもらった。この時期旨いアジもいただいた。ああ、昼のしあわせ、わがまま万歳である。ひとりよがりといわれてもいい。

寿司幸 名古屋市中区三の丸1丁目10−9 052-231-226 月曜休
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今日はぜいたくしていつものお寿司に追加してタコを塩でにぎってもらった。
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ひるにはあら汁もついてくる。
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嗚呼幸哉 希代の横綱大鵬さんも愛した 寿司幸