長く続けていたナディアさんの週一日のイタリア語レッスンだったが二年ほど前、忙しさのため中止。その後イタリア語を練習していないので今回ちゃんと使えるかどうか心配になりながらフランクフルト空港からミラノリナーテ空港行きの便に乗り換えた。イタリアに行く飛行機だから周りはほとんどイタリア人、彼らが語る言葉を耳で追いながら、イタリア語を思い出しはじめる。空港からホテルまでのタクシーで使う最初の言葉は夜ならボナセーラ、挨拶は人と人との出会いの始まりで省略はできない。それからどこどこホテルに行ってくださいというのがいつもイタリアで発する言葉の始まり。 天気の話題などしながらイタリア語に慣れていく。まあこうするとぼったくれる可能性も少しは減るかなという浅知恵。

ホテルのフロントで予約はネットでしてあるTANAKAです、とパスポートと予約書類を提示しながら、wifiのパスワードやセーフティボックスの有無、なるべくシャワーじゃなくてバスタブの有る部屋にしてくださいとイタリア語の口ならしをする。中高の英語教育で嫌気がさして大学を出てからTOEICなど検定、試験の類は一切受けたことがない、わたしのイタリア語なんてブロークンもいいとこだが外国語を使うのはキライじゃない。なるべくホテルのフロントマン、コンセルジュ、キャプテンにはこの近くで美味いレストランはないか、こんなの食べたいとか質問して教えてもらう。ホテルで口慣らしのため話していたらだんだんイタリア語も思い出してくる。イタリア語は発音もローマ字読みで極めて簡単でいままで知っている単語もおおいから本当に日本人が覚えるのは簡単な言語だとつくづく思う。ただ単語に男性女性があり動詞の変化も多いがそれを間違えたとしても通じるしこっちは日本人だから恥ずかしくもない。その辺りが間違っていても指摘もされずスルーで次の会話に移っていく。イタリアの素晴らしいのはそんな文法に間違ったおかしなイタリア語でも、外国人がイタリア語を使うことをイタリア人が喜んでくれることだ。それは案外どんどん異民族をとりこみ勢力を拡大していったローマ帝国からの伝統かもしれない。下手な自国語を使うと変な顔をする国もあった。イタリアに限ってはそんなことはない。お前どこで習ったんだとか、けっこうお世辞もいってくれて楽しい会話が進むのがいい感じ。

ピッティイマジネウォモは洋服屋、アパレルの集まりであるので業界の知り合いも大勢来る。実際、取引のあった例えば、ロロピアーナ、エルメネジルドゼニア、ドーメルのイタリア人スタッフや前任者にも出会う。そんなとき最近仕事どうだとか元気にやっているかとか挨拶をしていろいろ情報交換したりもし会社を変わった場合には今の仕事の様子なんかを下手なイタリア語で話す。以前ロロピアーナの担当者だったルカ・ガスタルディがブルックスブラザースヨーロッパの代表となり昨年出会ったのには驚いた。今回も10年以上前ロロピアーナの服地部門の部長だったアルベルトベルトーニ氏に出会った。当時からすばらしくカッコいい人で故セルジオロロピアーナにも信任厚く、仕事が出来る人だったので彼の事はずっと忘れていなかった。現在アルベルトはルイジボット社の社長をしていていろいろ話したが私の店に来た事あることを覚えていると言ってくれ感激。以前エルメネジルドゼニアのオーダーマーケット担当のブルーノランディ氏は現在カノニコ社の代表となっていて今回も出会った。17年前はじめてエルメネジルドゼニア社にタクシーで出かけて行って説明してくれたのが彼。仕事で関係した人で、キャリアアップというか出世した人が多くてなんだか嬉しい限りである。

雑誌でしかしらないが日本のセレクトショップのリーダーの顔は見かけるが、私と同様毎年ピッティ通いをつづけていらっしゃる柴山登光先生以外日本人テーラー関係者はあまり見かけない。どうしたんだろと思っていたがきっと世代交代してお子さんがたが来ていらっしゃるんだろう。
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右が元ロロピアーナのアルベルトベルトーニ氏、お会いできてほんとうに嬉しかっただけでなく覚えていてくれたのに感激。
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ドーメルの現担当者リカルド氏はジェントルマン。クラシコイタリアゾーン前ドーメルブースにて。
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ロロピアーナの現担当者、アンドレアピッツアゲーラ氏、いい男でもう20年以上のおつきあいとなる。
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フィレンツェでショップを経営している日本でも有名なシモーネさん。

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有名なリーノさんはお忙しそうだったからお声をかけなかったが一日目と二日目の着ているポロコートが違う。すごい!
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拡大してみると判るがポロコートは一日目は白で二日目はチェック!
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右から二番目、元エルメネジルドゼニアのブルーノランディさんとヒューゴボスのデザイナーさんと。