今でこそJPOPで日本語で歌うのが普通に思われているが私たちが育ったころはロックは英語で歌われていた。英米のオリジナルはもちろん日本で作れた曲でさえ英語で歌われていた。日本語はロック、ポピュラーは合わない、今から考えると不思議だがそう思われていた。そんな1960年代後半にはっぴいえんどは日本語で歌うことを始めた。バッファロースプリングフィールドに影響されたシャープなサウンドにのって歌われたのはドラマーの松本隆がつづった歌詞だった。ぼくは松本隆のドラミングも味があり好きだったが、はっぴいえんど解散後、松本隆は作詞家としてデビューし、そしてご存知のように日本のポップスを代表する作詞家となった。
はっぴいえんどの頃の松本隆の歌詞ワールドはぼくは強く惹かれはしたがその世界を100%心酔していたかというとそれはちがうかもしれない。でも大好きな歌もいっぱいあってその中でも一番こころに残っているのは故大瀧詠一の「恋するカレン」。奔放な娘に恋した貧しい少年の辛い気持ちを歌ったその歌は当時さえない大学生だったぼくの境遇にどこか似ていた。
昨日松本隆作詞活動45周年トリビュートで「風街であいませう」というCDがリリースされたので購入した。よく考えると45周年というのも半端な気がするがやはり昨年大瀧さんが亡くなったのがそういうトリビュートをする大きなきっかけになったのではないか。買ったのは特別限定版で本とディスク二枚の構成。ディスク1が歌で代表作をスピッツや斉藤和義らが歌ったものとディスク2が今をときめく斉藤工、宮崎あおい、東出昌大らが松本隆の作詞した歌を朗読したものだ。ディスク1を聞いてみたがアレンジが斬新でまたその歌詞がけっして古くなくきらきら輝いているのに驚いた。今夜あたり朗読も聞いてみたい。夏には東京国際フォーラムで松本隆作詞活動45周年トリビュートコンサートもある。そのチケットも実は手に入れた。