昨日とおとといとゴールデンウイークにともなう連休をいただいた。初日は貞宝カントリークラブにて家族三人でゴルフ。朝方まとまった雨が降ったがすぐにやんで美しい新緑の中で楽しい時間を過ごすことができた。そんな美しいミドリ色を眺めていたら昔の事をフラッシュバックのように思い出した。

それはぼくがまだ27,8の頃のこと。不動産業を営んでいた親戚に連れられ新緑の中ゴルフに出かけた際、同伴した羽振りの良さそうな建築設計士に言われたことば。

田中さん、錦三でテーラーをやっているんだって?あそこなら今は坪1500万はするでしょ?テーラーなんて割のあわないことをやらないでさっさと土地売って郊外にマンションでも買って家賃収入でくらせばいいじゃないですかと、今で言うと上から目線で言われた。
時代はまさにバブル、町内には商店をたたみ、猫の額のような土地を売り郊外に巨大な賃貸マンション2棟建てた知り合いもいた。わたしは先祖からの土地だから売るわけにはいかないんですよとちょっとくやしい気分で答えたのだが、それからまもなくバブルは崩壊、土地の値段はガタガタに下がった。

30年の月日が過ぎ、ずっとこの錦の地でおかげさまでお客様にも恵まれ幸運にも世界の優秀な服地を扱いながらテーラーを続けている。年月を重ねて累積した着数を考えてみるとその時巨額だと思った土地の価格以上のオーダーメイドスーツを販売してきたことにになる。

もしその時、我が家がお金に目が眩んでいまの場所を売却していたらこの場所以上の土地は入手できなかったはずだし、またテーラーというお客様の洋服を考え続けるおしゃれ好きにとって最高に幸福な仕事をいまでも続けてはいなかっただろう。これからもずっとこの街で洋服屋続けますから皆様今後ともよろしくお願い申し上げます。
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新緑の爽やかな眺め。鳳来寺山