いつもイタリア出張の間、朝はホテルの朝食、昼は空腹を感じたらパニーニひとつくらいかじる程度にして夕食だけを旅の楽しみにしている。仕事で来ているのだからグルメを堪能するわけではないが、せっかくヨーロッパ域内でもメシが旨くて安いイタリアにいるのだから美味しいものを喰いたいと思う。

昨年夏フィレンツェの共和国広場近くを散歩していたらフィレンツェ中央市場の食料品店で働く日本人女性ユキさんに出会った。彼女はイタリア食材やイタリア人の生活などをブログで毎日のように描いている有名ブロガーでもある。今回は彼女とともに彼女おすすめのフィレンツェ中央市場近くの気楽なトラットリアで食事をした。とぼけた味のあるイケメンカメリエーレが接客してくれる明るい雰囲気のお店にはCUCINA CASALINGAつまり主婦の料理と描いてあり、美味しそうな家庭料理がいただけそうな予感。ただ料理よりもなによりもごちそうはユキさんとのおしゃべり。妻と同郷人である彼女は外国に長く住む人にままある鼻持ちならなさは全くなくホントにいい人で会話もはずむ。それを楽しみながら出てくる料理を堪能する。二日間続けてこのトラットリアに行ったのだが美味しさに驚いた一皿をご紹介しよう。それはイノシシ肉の手打ちパスタで、イノシシ肉というと日本ならもったいぶった山家風の料理店でしかでくわさないがそれが予約もいらなさそうなこういう気軽な店ででてくるのが食材豊富なトスカーナの食肉文化の深さにほかならない。旨味もあるが臭みもあるイノシシ肉をじっくり一日以上ハーブで煮込んですべて旨味に変換しきっている。手打ちのパスタにからめてトスカーナのしっかりした赤ワインといただくとそれはそれは幸せな瞬間が訪れるのでした。ちょっと自分だけの余韻を楽しみたいので今回は店名を書くのはやめておきます。やはり真実は普通に街の中に存在しました。
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これが今回のベストディッシュ、イノシシ肉の手打ちバスタ
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フィレンツェ名物コッコリ。パスタ粉でつくった団子を揚げて、クリームチーズを付けて生ハムで巻いて食べる。
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生セージの葉のフリット。長さが15cmはあるおおぶりの葉。
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こんな気軽なお店。真実は街の中にある。
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シニョーリア広場にはなぜか黄金の巨大な亀が。なにを意味するかよくわかりません。