布と行ってもいつもの紳士服地の話ではない。春の嵐の後はどんどん温かさを増す。梅は咲いたか桜はまだかいなと当家のまだおひなさまの飾られている床の間には梅の枝の掛け軸が掛かっている。ぼくが掛けた訳ではなく母が季節の「設え」(しつらえ)として掛けたのだがミクロコスモスともいうべき小さな床の間に季節の掛け軸を掛けるというのは春の空気を感じる日本人ならではの心配りだなとおもう。
いつもは見過ごしてしまう掛け軸だがあらためて見てみるとなかなかいいもんだ。
一月ロンドンに行ったおり、デパートが連なっている通りオックスフォードストリートのデパートの一つ、JOHN LEWISで妻が布を探していた。お手洗いの窓に掛けるちいさなカフェカーテンに使う布だ。いままでマリメッコのプリント柄だったが何年も使っていて飽きが来ていた。ロンドンのデパートは家庭を飾る品物が豊富においてあり、カーテン、テーブルクロスなどに使う生地も多く揃えている。そのなかからウィリアムモリスの柄のざっくりした柄の素材があったのでたしか1mあたり52ポンドだったが購入した。それを窓枠の大きさを測って仕立ててみた。ブルーの色合いがとても気に入っている。
THISTLEつまりアザミの花をデザインした柄。アーツアンドクラフツ運動をすすめたウイリアムモリスは20世紀のモダンデザインの源流にもなっている。