スーツ、ジャケットを採寸する際はゲージと呼ばれている実際の洋服を着ていただきその状態を観察して採寸、サイジングしている。お客様に一番近いサイズのゲージを選び、それから肩幅、バスト上がり、袖丈、着丈などパーツごとに0.5cm単位の出し入れをしてスーツジャケットの最適なサイズを決めて行く。そして身体の傾きを調べ、反身屈身、撫で肩怒り肩をデータに反映させて行く。長年つきあっている縫製工場も正確にサイズを仕上げてくるので、お客様、採寸した人間の意図が反映された美しい洋服が完成する。以前はこういうやり方を「即時仮縫い」と言う場合もあったがやはりゲージ採寸と正直にいいたい。わたしは優れた縫製工場を使うという前提ならメジャーで採寸の後の仮縫いよりゲージ採寸のほうがずっといいと思っている。仮縫いというのは手縫いテーラーならではの工程で、ファクトリーメイドスーツに仮縫いをするというのはいわば「儀式」のようなものでコストが高くなるだけで意味が無いようにもぼくには思える。

ゲージに使うジャケットはなるべくロロピアーナ、エルメネジルドゼニア等の柔らかさのあるいい服地で仕立てるようにしている。高価だがやはり良い服地の方がお召しになるお客様に敬意を示すことになる。また堅い服地を使うと服地が動かず窮屈に感じるので大きいサイズをすすめがちになる。ファインな服地で仕立てたジャケットならつきつめたサイジングが可能になる。

試着のみに使うジャケットなのでお客様がほんの数分着るだけ。だから汚れる事もほとんどないはずだが長く使うとやはり薄汚れてもくる。そこできのう近所で自家工場を持って丁寧に仕事してくれるサトウクリーニングさんに38から60まですべてのゲージに使うジャケットそしてスマートパンツのゲージをクリーニングしてもらった。これでまたすっきりさわやかになって心新たにサイジングできる。

サトウクリーニング 名古屋市中区丸の内3-10-19 電話052-951-3101

DSCN3528

ぴしっとプレスも上がりきれいになったゲージたち