普通の旅行はviaggio(ヴィアッジョ)といい小旅行の事をイタリア語でgita( ジータ)という。日本にはそれにちなんでジータというイタリア語の名前がついた車もある。昨日は休みだったので「船場博覧会2011」があると聞いたのでそれに朝早く近鉄アーバンライナーにとびのり大阪へ出かけて行った。新幹線は関ヶ原から琵琶湖の脇を抜け大阪京都に行くが近鉄は津から山々の間を抜け奈良平野、大阪へと車窓からは関西の美しい景色は疲れた目に優しく、運賃は新幹線の約半分でお財布にもやさしい。

鶴橋でJRに乗り換え天王寺駅から向かったさきは昨日最終日の「岸田劉生展」。岸田劉生と言えば「麗子像」である。展覧会はうたい文句通り沢山の麗子を描いた絵が展示してあった。画家はまず写生からはじめ写実をめざしそれから現実をどう自己表現にのせて描くかに苦悶し人生をすごす。岸田劉生は当然の事だがとても力のある画家で若い頃から絵がうまかった。今回の展示は彼の37年の短い生涯のなかだったが若い頃から晩年まで人生を通した多くの絵をまのあたりにし画家の「生」がわたしの前に迫って来てとてもいい展覧会だった。
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天王寺公園内、大阪市立美術館の前。雨降り予想だったのでそれに対応した服で。

その後、西は横堀川、東は堺筋の東側にある東横堀川、北は土佐堀川、南は長堀通までの範囲である船場地区に向かうべく地下鉄の入り口に歩をすすめると通りぬける街は通天閣とその下にひろがる飲食店街。串カツ屋さんだらけでお客さんが結構入っていて、なかには午前11時前なのに行列ができている店もある。ディープな大阪を横目に見ながら残念ながら時間がなかったので串カツもつまめず。まあ名古屋に行きつけの串カツの名店五條もあるからいいかと諦めた。
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道修町小西家前にて神農さん(少彦名神社)に参拝するため並ぶ人々

北浜の駅を出ると露店がならび普段は人が少ない休日の町中だが人が沢山いた。船場の冬を彩る少彦名神社、神農さんのお祭りだった。境内が狭いので沢山の人ははいれないので長い行列ができていた。船場地区は日本商業の発祥の地で独特の商人文化と建造物が残っている。業界の先輩である池田吉孝さんはその地区の町内会長をつとめこの界隈の歴史文化にくわしい。その日は船場博覧会ではメイン会場で池田さんの大阪弁を使った川柳についての講演会があった。大阪の人が投稿した大阪のことばによる世相を映し出した川柳はペーソスがあふれとてもいいものだった。一例を言うと

  • ほないこか ちょっといい店 知ってんねん
  • おばはんの集まりちゃうで女子会や
  • しやあしやあと 出来もせんこと マニフェスト

またまたおばちゃんねたでどん引きなのが

  • 混んでるな ごめんやっしゃと 男子用

ほかにも楽しいのがいっぱいあるのでこちらでお楽しみください。
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講師の池田吉孝さん

川柳でさんざん笑った後、船場の中にのこる建築物で普段なかなか入る事が出来ない近江八幡で有名なヴォーリズ建築の日本基督教団浪花教会の内部を参観した。この地区にはなどすばらしい近代歴史建築が散在していてこの中のいくつか例えば芝川ビルや綿業会館ビルなどはわれわれ紳士服地業界ゆかりの建物である。
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ヴォーリス建築である日本基督教団浪速教会の内部

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昼食でいただいたブリの握り

それから池田さんの車で有馬温泉まで足をのばし金泉銀泉で身体を癒した。好きな三津森のクリーム炭酸せんべいをお土産に買い六甲からの大阪神戸の街の灯を楽しみ帰途についた。
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有馬温泉、炭酸煎餅の三津森