フィレンツェの中世の要塞Fortezza Bassoで開かれるピッティイマジネウォモはメンズファッションの世界的展示会。今イタリアはヨーロッパの中でもアフリカから大量に来る難民の最前線であり悩みも多い。ユーロ圏でも経済運営が難しく国内ではモノが売れなくなっている。イタリアにとってファッション業界は雇用と輸出を産み出す重要な産業。ピッティウォモは毎日イタリアの全国ネットテレビで報道され注目されている。
この展示会を注目せずして男性ファッションを語るなかれとも言われるようになった。近年人気のメンズファッション雑誌に掲載のイケメンイタリア人スナップはほとんどここでの取材写真だ。
ブースで次の秋冬シーズンの洋服をバイヤーが買い付けるのがピッティウオモに来る人の目的だったがサルトリアリストというスナップ集が知られて以来、着飾って会場内を闊歩し自社の製品をアピールする目的での来場者が増え、近年会場内は本来の趣旨から逸脱したコスプレ?的イケメンも多い。
男性がおしゃれに装うことを積極的に肯定して髪型から上から下までの洋服、アクセサリー、靴、バッグ、お手入れグッズなどファッションアイテム千以上のブースが並ぶ。以前はファッションの傾向を見るためと考えていたがファッションとは「差異のモード」。メーカー、ブランドのブースごとに傾向が違う。クラシコイタリアの普及のようなメジャーなテーマがある時なら別だが、グレーがトレンド、アースカラーが流行る、今年は英国調、今年はイタリア調などなどメディア等で語られるようなトレンドなど今はこれだけ選択肢があればありえない。例えばあるメーカーは太いボールドラペルかと思うとあるブランドはナローラペル。みんな一緒の大きな流行の方舟などない。人それぞれ異なる世界観を持つ小さな船でファッションの大海へ漕ぎ出している。装いたいという強い欲望の風に乗って。
ここに集うのはバイヤー、プレスメーカーなどファッションに携わるいわばファッションのエヴァンジェリスト(使徒)。来年秋冬シーズンのコレクションに向けて世界をおしゃれに彩る布教活動に精を出すのだろう。