スーツにつきまして立体感とシルエットの美しさなど印象を大きく左右する毛芯仕立てという「構造」につきまして特にこだわりを持っています。これは実はスーツに詳しくない方が見てもぱっと見で違いがわかるスーツの最重要ファクターだと考えているからです。どこにもブランド名が記されていない高級紳士服がそれが「高級」とわかる理由のひとつに毛芯があります。基本的に安い既製品は接着仕立て、高級紳士服は毛芯仕立てという区分けは、あながち間違っていないはず。
当店オーダーサロンタナカのスーツの縫製は安易な接着縫製は避けて、毛芯縫製による仕立てとしております。それもメインには高級スーツのみに使われる馬の尻尾の一本毛を使った本バス芯を毛芯の胸の部分に縫い付け立体感を出しています。
昨年、更に軽い着心地と自然でまろやかなショルダーラインを目指した「ambai」仕立てをリリースしました。すでに多くのお客様がお試しいただいておりますが、肩のナチュラルな丸みと軽さで好評です。特に夏は軽さは涼しさでおすすめです。今回ambaiの詳しい説明をいたしましょう。
「ambai」は軽いですがあくまでフル毛芯。
通常スーツの芯は前身頃に縫い付けます。前身頃全体に縫い付けるのをフル毛芯(=総毛芯)、前身頃の上半分に縫い付けるのをハーフ毛芯と呼びます。毛芯自体は軽いのですが、「ambai」仕立ては前身頃すべてに縫い付けるフル毛芯(=総毛芯)となっています。
「ambai」は網目のような超軽量毛芯を使っています。
本バス毛芯は薄いウールの平織りで作った芯地の胸の部分に馬の尻尾の一本毛を使った本バス芯を縫い付けています。一着分140gで以前の毛芯よりは軽く、それで上品な胸の立体感を表現しています。これに対して「ambai」はタテポリエステル、ヨコウールの網目のような一着分約70gの超毛芯を使っています。胸の部分は2枚重ねとなっています。本バス毛芯のほうが胸の立体感は上ですが、着て軽いので夏には向いています。
どちらも縫製技術として胸の部分に縫い付けています。どのような工程で縫い付けるかはまた後日説明いたします。
「ambai」の特徴はパット、タレ綿のないナチュラルなショルダー
本バス毛芯の肩のラインは立体感とふくらみのある肩のラインです。それに対して「ambai」は肩パット、そして袖の一番上の部分のふくらみを左右する「タレ綿」を省き、丸くナチュラルなショルダーラインとなっています。前からのショルダーラインをキレイにするため肩の縫線を後ろに振っているおしゃれな仕様です。
仕様につきましてはどちらも同じスペックが選べます。
「本バス毛芯」と「ambay」は毛芯と肩が違うだけなので総裏/背抜き、フロントボタンの数、袖ボタンの数など仕様はどちらも同じものがお選びいただけます。