フィル・ミケルソンを老兵というのはちょっと失礼かもしれません。しかし10代20代の若い才能が綺羅星のように現れるスポーツの世界で50才のフィルをそう呼んでもあながち間違いではないはず。左打ちでは至高のプレーヤー、フィル・ミケルソンが史上最も過酷とよばれる大西洋の強風吹きすさぶ全長7800ヤードを超す鬼才ピートダイの傑作モンスターコース、キアワアイランドゴルフリゾート・オーシャンコース (サウスカロライナ州)7876yd(パー72)でおこなわれた4大メジャーのひとつ全米プロゴルフ選手権で頂点に立ちました。その類まれなる柔らかさで、なみいる若き豪傑たちよりも白球を遠くに飛ばし、トラップからも見事脱出し、勝利しました。武漢からやってきた姑息な病を緑の大地の戦場で白い刃を一閃し断ち切った勇者の幻をみたのは私だけでしょうか。フィルのまわりには一万人のマスクをしない大観衆が取り巻いています。ひょっとするとアメリカ合衆国がCOVID19に勝利した瞬間かもしれません。フィルおめでとう!!

ゴルフというゲームは明らかに他のスポーツとは違います。身体のすべての力をこめ飛ばそうと思うと飛ばなくなり、真っ直ぐ打とうと思うと曲がり、自分の力を放棄しクラブヘッドの言うなりになってはじめて目指す道に導いてくれる諧謔味あふれた遊びです。若ければいいというものでもなく力のあるものがいいというものでもありません。攻めるだけでなく、一旦危険を避ける余裕も持たねばなりません。自己鍛錬が一番重要ですが老練さも間違いなくスキルのひとつでしょう。

この偉大な瞬間に私事などどうでもいいですが、若いうちにゴルフというゲームを知って本当によかった、還暦も2年過ぎましたがまだ飛ばせる、きっとまだいままでよりいい球が打てる、そしてこれからもこの遊びを楽しめるとフィルの偉業をリアルタイムで見て確信しました。

勝利に向けてスイング一閃
フィル大好き!
ウイニングパットをリアルタイムで見られる幸せ。
荒れた大地でアメリカ合衆国がコロナに勝った瞬間かも。