70年代「別れのサンバ」がヒットした。そのころはピンと来なかったが、その後ボサノヴァにのめり込んだ後、「別れをサンバ」を聞き直すとこれはまさにブラジルの名ギタリスト、バーデンパウエルのスタイルではないかと感じた。そしてそのクールでこころにひっかかる歌声、ずっとずっと聞きたかった。その長谷川きよしが今池のラブハウス得三でライブをするのを知りこれはと思いすぐ予約した。


「別れのサンバ」

得三はホールの形と木の背景がいいのか音が良い。 特に少ないユニットの場合それを実感する。今回はアコーディオン、フリューゲルホーン、ケーナなどを巧みに操るパトリック・ヌジェとの二人のユニット。絶対いいはずと確信していた。7時半開演といっても結局8時開演になるミュージシャンが多い中、律儀にも予定の7時半きっちりにステージに現れ、演奏は有名なシャンソン「回転木馬」から始まる。シャンソンは母の世代の音楽と決めつけ避けて来たが、ドラマ仕立ての詩が人生の機微を謳うパリの音をこのユニットの演奏で聞くとずっと前から好きだったかのように思えるのは二人の声のハーモニーがなせる技かもしれない。長谷川きよしの明瞭で粒立ちのきわだった歌声のシャンソンから一幕ずつの芝居でも見ているようなヴィジュアルイメージが湧いて来るのが不思議。きっと何万回歌っている「別れのサンバ」「黒の舟歌」「灰色の瞳」などのヒット曲も歌詞のひとことずつ、母音、子音を丁寧に歌い、バックのアコーディオンのせいもあり新鮮な響きで今の時代になっても生きる歌の意味が伝わる。静かな感動の夜でした。

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8/20(水)今池得三 「長谷川きよし、パトリックヌジェ」


岩谷時子のよくしられた歌詞でなくエディットピアフの歌った歌詞をなるべく忠実に翻訳した歌詞で歌う。「愛の讃歌」