10年前初めて訪れた時はポンドが高く良い思いをしなかったせいかあまりそう感じなかったが最近ロンドンの街がとてもチャーミングに思えて来た。今年も昨年に続いてイタリアの帰りにロンドンに立ち寄った。
ミラノからの飛行機でヒースローからヒースローエクスプレスに飛び乗りパディントン駅へ。あのタクシーに乗るとロンドンに着いたと実感が湧いてくる。 幸いな事にロンドンの天気は快晴。でもやはり寒いので街行くジェントルマンは皆コートを着ている。英国はバーバリー、アカスキュータムの有名ブランドがありコートと言えばトレンチと考えられている。実際のところロンドンでは多くの人がウールかカシミアの黒か濃紺のチェスターフィールドをスーツの上に着ている。若い人はやはり日本と同じく三分の二丈コートと言われる短めのコートをそれも日本とおなじくタイトに着る。年配の方はロングのチェスターをゆったり着る。英国ではあたりまえのように週末の夜そこそこ育ちのいい若者だったら男はスーツにチェスターフィールドを着て女性は大きく背中の開いたイブニングドレスを着て遊びにいく。みたところビスポークでばっちり決めているわけではなくとにかくチェスターフィールドコートをそろえる感じでレディメイドを着ている若者が多い。今回も週末の夜にそんなスーツ軍団を何度もみかけた。日本で似ている集団は結婚式の二次会がはねた時の男女達。
パブで見かけたチェスターフィールドを着たジェントルマン
パブ「チェッカーズ」で夕方見かけたジェントルマン
バーリントンアーケードを護るバトラーの装い。写真も快く撮らせていただいた。
バーリントンアーケードで5ポンドで靴を磨いてもらう。靴の磨き方というのは本当に人それぞれでそのストーリーを聞くのも楽しいしみていても楽しい。再生の儀式にはいろいろな流派があるということか。
これを日本に全部置き換えるのはそもそも「場所」がないため無理というもの。例えば年末日本ダービーを見に行くときグレーのモーニングで出かけたらそれこそ奇異で英国かぶれに思われるはず。でもその楽しさを全く味わうことができないかというとそうではない。例えばビジネスの際、その日に会う相手にちなんだスーツを着るとかゴルフ場でも義務的にジャケットを着るのではなく日常と違う田舎生活をたのしむつもりで着るとか彼らの着替えの楽しみをわれわれ日本の楽しみとすることも全く無理ではないと思うのだ。
スポーティなツイードのカントリージャケットの専門店コーディングス。メンズレディース共とても品ぞろい豊富。
ジャーミンストリートにてウエストコートつまりヴェストの専門店が繁盛しているのが驚きだ。伺った時4人先客がいた。
3つのロイヤルワラントが誇らしいセヴィルロー最古のテーラー、エデ&レーベンスクロフト
ロンドンドーメルに残っているアーカイブを見せていただく。分厚く巨大な書物から古い服飾の歴史をかいま見る。
このシリーズはドーメル社創立前からのもの
セビルロウテーラーが仕立てた力強いラペルのライン
パイピングにリバティプリントを使用。こういうのもロンドンテイスト
ドーメルロンドンにて。右がパトリック氏
またパトリック氏がセヴィルローテーラーで作ったハンドメイドのスーツもじっくり見せていただいた。
日本の空手をこよなく愛するアスリートでもあるパトリックの胸を美しく包むシルエットとそれをスッキリ見せるラペル、そして裏地のパイピングはあのリバティプリントを使ってあるのがキュートだった。
パトリックの顧客であるロンドンの有名テーラーの裁断士
テートブリテンに行く途中に。おーピンクフロイド アニマルズ!