光も徐々に春の光に変わって来た。おなじ明るさでも秋の光と春の光は違うしそう感じるこころをわれわれは持っている。そんな春の光に映える2012年の新しい秋冬服地がイタリア英国から入荷してきた。今朝はイタリアミラノの西北にあるビエッラ地方クアローナからロロピアーナの素材がたくさん入荷した。2日前、一反単位でまとめてオーダーした分が入荷しそして本日は一着ずつカットしてオーダーした分が入って来た。これで整理整頓して2月初めにはお客様に見ていただけることになった。ことしはスーツとともにすてきなジャケット素材を沢山選んだ。楽しみにしていてください。
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昨日友人の管啓次郎から一冊の文庫本が送られて来た。彼のエッセイ「狼が連れだって走る月」が文庫化されたのだ。帯には「詩人思想家のすべてを凝縮させた奇跡的名著」と記してある。彼は高校時代のバンド仲間、わたしには彼が文壇でどんな評価を受けているかよくわからないが「奇跡的名著」と書かれているととても嬉しい気分になる。吉本ばななさんがこの本を読んだ感想を序文「あの夜の心の旅」として書いている。その序文からの抜粋
「偶然に管さんにお目にかかる事もできた。思った通りに、楽しい事をたくさん知っている人の顔だった。楽しい事におぼれてはいない、でも探していけばこの世には美しいことや楽しいことはやっぱりあるんだ、そういう目をしていたから嬉しかった。」
この文の中の、多くの楽しさを知りかつそれにはおぼれないというのかいいなと思う。楽しさを正当に評価する、でもマニアやおたくにはならない。正月に彼と話してアイラモルトのラフロイグのことが酒の強くない彼の口から出たとき、私のように酒に溺れずにあの旨さを理解してくれたのは驚きでもあったし仲間だなあと感じた瞬間だった。
良書ですのでご一読ください。
「狼が連れ立って走る月」管啓次郎 河出文庫 1200円(税別)
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昨年12月から始まっていた当店の前の日本紙パルプ商事名古屋支店の建物の解体工事が終わったようで店の前は大きな広場が広がっている。がらんとしている空間を見ると、わたしとは関係ない建物とは言ってもずっと眺めて来た視覚の思い出をむりやり消去したようで寂しい気分になってくる。もう土地は誰かに売却されたという事でいずれはなにか別の目的の建物になるだろう。鉄筋コンクリートの建物は強そうに見えてもすぐ立て替えの時期が来るのだろう。私の近所だけでも名古屋一の高さを誇った高層ビルである「東京海上ビル」(旧タキヒョービル)、ハザマビルなどいくつかが工事現場となっている。新しいビルが建つのだろうが、新しくたったビルも空き室が多いようでなかなか満室にするのはホネだと聞いてもいる。いい隣人が来てくれる事を祈るのみ。 
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当店からの撮影