人気のイエイ日記は本日はお休みです。

今朝ジョアン・ジルベルトがなくなったという知らせをジョアン・ジルベルトの研究家にして全作品を採譜したバーブ中嶋さんから聞きました。
ジョアン・ジルベルトは私が生まれた1958年に作詞ヴィニシウス・ヂ・モライス、作曲アントニオ・カルロス・ジョビン「CHEGA DE SAUDADE」でボサノヴァを世に問いました。もし音楽にリズムとハーモニーが要るなら、ささやくような声とナイロン弦のアコースティックギターだけでそれをすべて表現しました。最小のユニットでかつ最大の表現者でした。ジョアン・ジルベルトだけがボサノヴァでありジョアン・ジルベルト以外のボサノヴァはボサノヴァではありません。だから今日は私の中でボサノヴァが死んだ日であります。ボサノヴァは死にましたが残された多くの音源をこれからもずっと愛好するでしょう。

2006年秋東京有楽町ホールで、ほぼ彼の息を感じるほどの最前列でジョアン・ジルベルトを見ることができ、至福の時を過ごしました。ずっと聞いていたロックはブルースの呪縛が有るのかあまりにも定型的であることに気づき飽きてきた三十代の頃、ジョアン・ジルベルトのアルバム「JOAO」に出会い、その豊かさに魅せられました。
享年88才、長生きをしてくれて本当にありがとうございました。この世でも余生をブラジル・リオデジャネイロのマンションで静かに暮らし、安らかな幸せな人生だったと思います。もちろん天国でも永遠の安らかな幸せに満ちるはずです。