この旅の最大の目的はピッティインマージネウォモ(PITTI IMMAGINE UOMO とイタリア語では表記され子音であるMが重なるため長く発音するためインマージネという。例えばmamma お母さんの意はマンマ bello 美しいの意はベッロと発音。スターバックスはcon panna つまりクリーム付きをコンパナと表記している。パンナコッタで日本でも知られているこの単語をスターバックスが確信犯的変な発音をつづけているのはいかがなものか。)通称ピッティウォモを見ることにほかならない。現在日本のメンズファッションは有名セレクトショップがひっぱっているということは間違いないだろう。その顧客層にもピッティウォモの名前は知られていて私が16年近く毎年行っているというととてもうらやましがられることが近頃多くなってきた。わたしが通い始めたころは素人さんならずもピッティウォモのことを知らないプロであるテーラーや洋服屋が多い時代だった。しかしイタリアでは別の意味でピッティは注目されている。もちろんモードについて一般のイタリア人もとても興味をもっているのには間違いないが、そうでなくヨーロッパの一大産業としてのメンズファッションの盛衰を心配しながらピッティウォモを見ている感じがする。ギリシャにはじまるユーロ圏の経済危機はドイツをのぞくユーロ圏に暗い影を落としてきた。スペイン、イタリアはギリシャの危機がいつこちらに波及するか戦々恐々としている。イタリアでは賃金の決して高くないが物価はじわじわあがる。そしてなにより若い人間の仕事を見つけることが極めて難しくなっている。日本は就活難とはいってもよく知られた名前の会社に入るのは難しいが仕事さえ選ばなければ職にありつくことはそう難しくはない。そんななかで素材から製品までのファッション関連産業はイタリアにとってとても重要な産業でその規模の大きい見本市であるピッティインマージネウォモの活気のあるなしはイタリア人のとっても気になるところなのだ。

まずフィレンツェの中央駅であるフィレンツェサンタマリアノッヴェラ駅に着いたら休日の繁華街のような人の多さで観光地として世界的人気の高さを再確認した。そんな駅の雑踏の中に身なりのきちんとしたジェントルマンや雑誌LEONなどからでて来たようなワルぶった装いの方々が多かったのでピッティの人気は衰えていないと感じた。今回フィレンツェは先週まで涼しかったのに熱波が到来して摂氏35度を越える暑さで直射日光があたる場所では間違いなく40度を軽くオーヴァーしていただろう。サンタマリアノッヴェラ駅から徒歩で10分たらずのピッティウォモ会場である中世の要塞跡であるバッソ要塞までの道すがら汗が流れ出してくる。サングラス率7割を越え、いつもは夏でもジャケット姿をよく見るピッティ会場だがシャツ&パンツ姿ばかり。わたし自身きちっとネクタイをしめてジャケットパンツで出かけたのだが昼を過ぎたときふっと気がつくと裏地を貫通してジャケット表面が汗で濡れていた。ピッティ取材に集中していて暑さを忘れていたのだ。シミになってはいけないのであわてて脱いだ。ピッティ会場でも日差しの強烈な外には人は決して多くないのにエアコンの効いた室内の中は人でにぎわっていた。今回のテーマはファッションとモータースポーツらしい。メイン会場の前には疾走するバイクのディスプレイがある。また様々な場所でモータースポーツにちなんだ展示もある。衣食住に足りたら良い車に乗りたいし異性に好まれる装いをしたいというのが人情でファッションとモータースポーツは密接な関係にあることはまちがいない。
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ピッティインマージネウォモの入り口を入ってすぐのパピリオン。これがイタリアが誇るラッピング巨大印刷。修理中の教会など有名建築物の外装をこれが覆う場合もある。
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典型的ピッティボーイズ。
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パンツを細めにしたらぜったい若く見えるこのサイジングの魔術。
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メイン会場前のディスプレイは扇風機で風を起こし疾走するバイクをイメージさせる。
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これはピレリのブース、タイアだけではなく近年アパレルに進出。
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かわいい三輪車とイタリア女性
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古き良きカリフォルニアドリーム。波乗りが青春だった。
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カロッツエリアの巨匠ジウジアーロとコラボしたセルッティ1881
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靴とともに12気筒エンジンの展示
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かんかん照りの日で影が短いこと。太陽さん真上から照らしてます。