若い頃のロックヒーローはもうほとんど70歳を越えていて、ひとりまたひとりとこの世を去っていく。今日もヤフーはネヴィル・ブラザースのチャールズネヴィルが亡くなったこととともに5月2日に井上堯之さんが亡くなったことを伝えていた。

もう主要登場人物が亡くなってしまったので実名で描いてもいいだろう。
約20年前のある夕方、タダシさんと井上さんが今夜家に遊びに来るからギターとキーボードを持ってすぐ豊田の家に来い、と電話がかかる。電話の主は友人で貞宝カントリー経営の杉浦ツヨシ。ツヨシのおじさんがタダシさん。タダシさんとは日本野球界に燦然と輝く大投手杉浦忠(故人)。この方が誰かはこのウィキペディアを改めて読んでほしい。

すべての予定をキャンセルし、クルマに楽器を詰め込んで豊田のツヨシ宅に駆けつける。自慢の68年製のオールドストラトを持った友人のキタやタダシさんのお兄さんの孝さん(故人)、弟である義信さんも来ていた。おまいら凄いだろう!ここに神様がいるぞおと僕らに声をかけたのはこの人も間違いなく神様であるタダシさん。神様というのは井上堯之さんのことだった。井上堯之さんはグループサウンズの雄、スパイダースのリードギターであり太陽にほえろ!や傷だらけの天使のテーマを作曲演奏した名プレーヤー。ツヨシ宅でタダシさんや友達と音楽パーティしようということだった。井上さんは僕が持っていったESPのロン・ウッドモデルのエレキギターを手に取りキタが持ってきたたアンプ、フェンダープリンストンリヴァーブに繋いでギターを弾き出すと止まらない止まらない。当時のGSサウンドをはじめ、ビートルズ、ポップスなどなど弾くわ弾くわ。そのうちセッション大会になってキタはギターで、わたしはウィーピングハープ妹尾(故人)のDVDレッスンで覚えたブルースハープで応戦した。それが結構ウケて、弾きまくった、いや吹きまくった。井上さんギターでヘルプやらビートルズナンバーを演奏するのでテキトーな歌詞で大声で歌ったら、おい!おまいら!ビートルズくらい歌詞を覚えろやとビートルズ世代の代表としてお小言を言われたのも楽しき思い出。井上さん、太陽にほえろ!傷だらけの天使をやってよ!と無茶振りしてもそのギターアカペラロングバージョンを惜しげもなく披露してくれた。不世出の大投手タダシさんも大喜びでガハハと笑って楽しく深夜まで夢のようなスーパーセッションは延々と続いた。

来年はマチャアキと来るからな!と言い残して井上さんは去っていったがそれは果たせぬ夢となった。

井上堯之さんのご冥福をお祈りします。

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今も持っているこのESPのロン・ウッドモデルを井上堯之さんは弾きまくったのだった。井上堯之さんがぼくのギターそっくりのギターを弾く姿をみると縁を感じる。