オーダーメイドの研究のため、8月末から御幸毛織株式会社から西村錠課長が当店にて研修を重ねています。店主のわたしと妻の二人では接客について行き届かなかった部分もいままでありましたが、3人体制となり、すこしは良くなったのではと喜んでいます。
西村さんが来ていただいて以来、当店でオーダーいただいた素材の中に御幸毛織製が増えてまいりました。私としては西村さんが来たからと言って御幸毛織に過度に肩入れするというわけでなくお客様にいちばんベストな素材を薦めてきたつもりです。ではその中でなぜ増えたか、増えた御幸素材の内訳を調べると昨年から出てきたセビルロウ番手といわれる52番手を使い椿オイルで仕上げたカメリアフィニッシュ、そしてナポレナ、ダブルクロスでした。この2つは西村さんがものづくりの現場に携わった知識の中で御幸毛織の全コレクションの中からそのベストな素材をすすめてくれたものです。2つとも手触りいいだけでなくしっかり感のある素材。お客様が長く愛用できるこういった素材を選んでくれたことが売上増につながった気がします。
西村さんが言うのには御幸素材は服地の段階で、ぱっと見が良いというわけではないのが難点だと言っていました。それは言い方を変えると、洋服が出来上がった段階でよく見えるいわゆる「仕立て映え」する素材だということでしょう。高くてもいい原料を使う、服になって着る状態を想定して手間をかけ織り上げる。地味ですがそういう姿勢が明治、大正、昭和そして平成と長い間、テーラーとお客様に、「仕立て映え」する日本最高の服地だと支持されてきた理由なのでしょう。
カメリアフィニッシュとナポレナ