昨日、朝起きて散歩をしてから、一宮市玉ノ井にあるドミンクスの織元、葛利毛織さんにでかけた。今回、高校の先輩でもある葛谷幸男社長におねがいして工場を見せていただきながら買い付けに行った。車で行く方法もあるが電車でいくことにした。朝9時、家をでて桜通線で名鉄名古屋駅、で9:29の岐阜行きに乗ると10数分で一宮に着く。むかえのプラットホームには一つの線路に2つの電車が着いているがこういうのなんだか不思議。前の電車は玉の井線で一宮から玉の井までを片道10分ほどで往復運転するまさにローカル線で地域の人にとって重要な足となっている。友人のノダの住む奥町もこの沿線にある。一宮から西一宮、開明、奥町をすぎ玉の井までは住宅の間ぎりぎりを通って行くのがローカル線ならではの風情でなんだか面白い。終点の玉の井はもちろん無人駅だが改札はICカードも使えるように整備されている。葛利毛織は玉の井駅から徒歩一分のところにある。 
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住宅を縫うように走る玉の井線
葛利毛織はシンプルな古いションヘル織機を使ってゆっくりていねいに毛織物をつくっている工場で当店のお客様にもよく知られている。わたしは名前をいうのははばかられるが、とって付けたようなタバコ屋や馬具屋ブランドを服地の耳に付けてブランド好きの客めあてのどこで作ったか出自不明のブランド服地を嫌っていてどこで作られているかちゃんと分かるモノ作りの現場が見える服地が好き。その世界一の存在がロロピアーナ、エルメネジルドゼニアで葛利毛織ドミンクスもその系譜に間違いなく入る。ストックルームの中でコレクションを見せていただいて買い付けする分を選ぶ。やはり定番のスーツ素材にその違いはあらわれると考え、
定番のウール100%ウーステッド素材の基本的な色である濃紺、チャコールグレー、ロイヤルブルーを買い付ける事にした。その後、NHK「美の壷」などいくつかのテレビ番組やメディアにも紹介されている古式蒼然とした工場を見せていただいた。古式蒼然といっても一宮の人たちは「普請」にお金を使うと言われたとても美しい木造日本建築に囲まれた工場だ。織機の音が響き渡る工場内に入る。織物工場には今までイタリアや日本国内でよく行っているので織り物の工程は頭に入っているつもりだがこの工場は本当にクラシックな機械を大事に使っているのはまちがいない。織物の工程は織る前の準備にとてつもない時間がかかる。写真に従い順を追って解説する。
 
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整経工程  織物はタテ糸とヨコ糸で成り立っているがこれはタテ糸を準備する工程。素材の良し悪しにも影響する手間もかかる重要な工程。
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左から右に糸が来ているのが見えるだろうか。整経工程
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整経工程 タテ糸をビームに巻き取る整経機
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タテ糸を上下に開く綜こう(そうこうと読みこうは糸へんに光)の穴に一本一本糸を通して行く、気の遠くなるような作業。芸術大学をでたスタッフがこの作業にたずさわっている。
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筬(オサ)通し 一定の間隔に仕切られたすき間に糸を二、三本ずつ通していく。この筬で織物の巾と密度を整え筬打ちすることでタテ糸を打ち込む。綜こう通しとともにとても時間のかかる手作業であわせて3日かかる。
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ヨコ糸を管に巻く工程。シャトルにセットして織り機が動く。
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織機に掛ける前に一週間かかりやっと織る工程に入る。
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織物と同時に織り耳が出来てくる。
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チェックなど複雑な織物組織を織るため織り機をコントロールする機構。
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こうやってチェック柄は織られる。
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仕上がった織物の検査は光をあてて。
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織り上がったばかりで整理工程(仕上げ工程)を経る前の織物はキバタといわれ風合いはバリバリで堅い。
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ションヘル織機のメンテナンス、調整は自家で行う。
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ションヘル織機は愛知県の平岩鉄工所謹製

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ストックヤード前でお元気な大先輩、葛谷幸男社長

やはり工場の中を見るとあらためて織物というのは手間がかかっているのを実感する。一つの工程を省いたり手を抜いても良い製品は出来ない。すべての工程に愛情をそそいで初めて評価できる製品は仕上がるものだ。作り手に対してさらにリスペクトの念をいだきながら工場をあとにした。買い付けた素材は来週入荷する予定で、入荷しだいブログでご紹介いたします。