先週の土曜、仕事が終わったあと、浜松西インター近くの妻の実家にクルマで出かけた。30年も向こうの話しだが妻と結婚するまえデートによく通った東名高速道路は今と違ってあまり混んでいなかったため家から東名名古屋インターまで下道を通って行ってもだいたい1時間半で着いたものだが、今は交通量が増えて東名名古屋インターまで名古屋高速東名阪を経由して高速道路を使っても二時間近くかかる。妻の実家は浜松自衛隊西基地近くの庭のある大きな家で義母と義兄が二人で住んでいる。義母はいままでまわりの誰よりも元気を誇り、地域の活動、詩吟の師範と大活躍だったが80半ばに近くなり、身体にぼちぼち悪いところもではじめてきて10月の終わりにはちょっと体調をくずした。病院のお世話にもなりだいぶ回復してきたそうだが昨年末から顔をみていなかったので久しぶりにあった義母は以前よりすこしだけ小さくなっていた。おみやげを渡してお茶を飲んでいろいろ話しているとさすがいまでも耳もはっきり聞こえ頭脳明晰。顔色もピンク色、肌もつやつやでおもったより元気で安心した。小一時間も話しただろうか、帰る時間になって亡き義父の祭られている仏壇に手をあわせた。仏壇の上には義父からさかのぼること3代の写真が並んでいる。曽祖父は天皇陛下を乗せるお召し列車の車掌をされた方でお写真も立派。そういうこともあって妻の実家は皇室への尊崇の念も深く、天皇陛下ご夫妻の写真も並び、床の間には天照皇大神のお軸も掛かっている。天皇陛下と皇后陛下のお写真が掲載された皇室カレンダーも飾られていた。陛下ご夫妻の写真をあらためて仰ぎ見るとその凛としたスーツの着こなしにあらためて感服する。儀礼服でなく平服としてのミディアムグレーのおだやかなツヤを持つウーステッドで仕立てられたダブルブレストスーツは陛下のお好みの4つボタンのロングターン下掛け。袖から15mmシャツはきりりと出ていてまさに英国ゆずりの正統派着こなしである。日本の民を思い世界の人々への敬意を深く持つ陛下のお気持ちはこのスーツ姿に現れている。日本には誇るものが沢山あるがなにより天皇陛下がいていただくことが一番誇らしい。
短い滞在だったがいつも浜松の家をでるときクルマが見えなくなるまで義母は見送ってくれる。 妻に対する義母の深い愛情を感じいつももうしわけなくなる瞬間でもある。またそんな遠くない日に来ようと思う。帰りの東名高速道路は思いのほかスムーズで午後11時前に帰る事が出来た。