スーツは服地で出来ています。メンズスーツの素材を紳士服地といいますが普段スーツをお持ちのみなさまもその素材である紳士服地はあまり身近な存在ではないかもしれません。すこし紳士服地のお話をいたしましょう。
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紳士服地 ロロ・ピアーナウインタータスマニアン150

紳士服地の形状-巾
織物の巾は織り機の巾に依存して実はまちまちですが、紳士服地の巾は150cm以上と決まっています。織りの工程の後にフィニッシングの工程があり、そこで巾が縮むので仕上がりが150cm以上になるようにするため織りの工程では160cm巾以上で織るのです。
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この服地の場合、端から織り耳の内側まで半分で78.5cm、倍にすると157cm巾あります。

スーツを作るのにどのくらい紳士服地が必要か
日本男子の標準的な体格の方はスーツで3m、スリーピース・スーツで3.2m、ジャケットで2m紳士服地が必要です。
紳士服地の形状-長さ
織物を作るには織機にセッティングする準備に多くの時間と手間がかかります。いったん織機で織り出し始め続けて200mはつくると毛織物会社は採算とれるそうです。1反は日本、イタリア基準ですと50mですので4反単位が一ロットとなります。
紳士服地の形状-折り方
スーツは左右対称で裁断は2枚重ねて行います。そのため紳士服地はオモテ面を内側にして2つに折った状態で巻いてあります。オモテ面を内側にするのは、「なかおもて」といって汚れや光による経年変化を防ぐためです。
織り耳
紳士服地の最大の特徴として服地の脇にある1.5cmほどの帯のようにも見える名前の入った織り耳=ウーベンセルビッチがあります。もともと服地脇のほつれ止めではじまった織り耳ですが、紳士服地は高価なため、価値を高めるべく織り耳に字をジャガード織機で織り込んで作りました。エルメネジルド・ゼニア社がはじめたともフィンテックスがはじめたとも言われています。織り耳がないものより織り耳に原産国、メーカー、原材料が記載されている紳士服地はやはり優秀だと言え、オーダーマーケット中心に使われます。ただコート素材やコットンやリネンなど入れにくいものもあるので一概にそうと決め付けることも出来ません。
紳士服地のうらおもて
紳士服地にはウラ面とオモテ面があります。オモテ面にはキズなどが出ないように仕上げます。2つに畳んだ中がオモテですがこの見分け方は織り耳があれば簡単で裏面は字が逆になります。
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これが紳士服地のオモテ面
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これが紳士服地のウラ面