イタリアに行き、イタリア人に日本で何をしているのと尋ねられサルト(仕立て屋)だというと、ほおーーとちょっと賞賛を含んだ反応になることが多い。イタリアではやはりこの職業はリスペクトされているのだろうと感じる。
今日は「英国王室御用達」「セヴィルロウ」の著書があるファッションライター長谷川喜美さんとルーク・カービー撮影の美しい書籍「Sartoria Italiana」を楽しく読んでいる。当店でも人気のあるヴィターレ・バルベリス・カノニコ社が全面バックアップし、北イタリアから南イタリアの27のテーラーに取材した洋服文化への深い愛情を感じる見ごたえのある力作とでもいう本で美しいスーツの画像も魅力的だ。もちろんヴィターレ・バルベリス・カノニコ社の素材が多いが、ロロピアーナのウインタータスマニアンの古いコレクションのスーツを著名サルトが着ていたり、ロロピアーナのサマータイムやソルビアティのサッカーで仕立てたジャケットを発見したりする面白さもある。
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なかにはイタリアでお会いした方もいるので懐かしい思い出が蘇る本でもある。初めて22年前イタリアに出かけた際、ロロピアーナ本社でお会いしたのはたしかにこの本に掲載のサルトリアバルベリスのご主人ジョヴァンニ・バルベリス氏のはずで、クアローナのロロピアーナ本社二階にて、順番待ちもでているくらい仕事が多いなか丁寧にイタリアのサルトの技術を日本のテーラーたちに惜しげもなく何時間もご教授いただいた。
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カノニコの同郷でもあるバルベリスさんの記事「Sartoria Italiana
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21年前ロロピアーナ本社でジャンニさんに指導をしてもらったときの写真

マリックのアンドレアの紹介でフィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ近くの建物の二階に上がったセミナーラさんの瀟洒なサルトリアに伺ったのも貴重な思い出。着せてもらったジャケットの柔らかな着心地とともにこのおだやかな紳士のやわらかなトスカーナ地方のイタリア語はいまでも耳に残っている。
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ジェントルマン、ジャンニセミナーラに幸あれ。「Sartoria Italiana

イタリア大使館で二年前行われたヴィターレ・バルベリス・カノニコ社のパーティでお会いした二人のアントニオ、リベラーノさんとパニコさんもイタリアトップクラスのサルトとして紹介されている。実際にお会いしたことはないが、ナポリのマリネッラさんのスタッフが自慢していたジャケットを作っていたソリトさんも紹介されている。

シチリアのサルト、サルトリア・クリミのご主人が「Sartoria Italiana」に載ったことをシチリアの新聞で紹介されたとフェイスブックで喜んでコメントしていた。ちょっと驚いたのはその画像は私のお客さまでもあるサカモトさんがシチリアのサルトリア・クリミで仮縫いしている写真だった。サカモトさんは毎シーズン当店で極めてエレガントなロロピアーナ素材をオーダーいただいているがときどきシチリアにでかけサルトリア・クリミでハンドメイドしてもらっている。フェイスブックで紹介されたのはその時の画像。サカモトさんに聞くとクリミのご主人は僕の仕立てたスーツも高く評価してくれてるそう。イタリアのサルトと名古屋の当店がちょっとリンクした気分にもなりました。
newssakamoto
サルトリア・クリミで試着中の我がクライアント、シチリアの新聞記事。内容はサルトリアクリミが「Sartoria Italiana」という日本の書籍に紹介されたということ。
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親子で働くサルトリア・クリミの記事 「Sartoria Italiana