時間があったのでANTHROVISIONという経営書を丸善で本を買い(いまこんな行為すらも時代遅れかも)読み始めました。実のところ経営書というのはまず読んだことはありません。お仕事についてはちょっとかっこよく言うなら自分のこころのままにやっています。経営書が苦手なそんな私が経営書を手にとったのは「ANTHROVISION」=文化人類学的視点というタイトルに惹かれたから。本の中身といえば、全部読んだわけではないですが、彼女のタジキスタンへのフィールドワークの経験、文化人類学の紹介そして、ワールドワイドなITビジネスにも欧米的視点だけではなくその地域ごとの文化の差を考慮する(文化の翻訳)をすると成果が上がる(当たり前の話)という内容のようです。

大学生の頃、当時の友、管啓次郎くんに導かれて、朝日カルチャーセンター新宿まで西江雅之先生の文化人類学/言語学講座に通っていました。25以上の言語が話せるとかさまざまな伝説のある西江先生から、わかりやすく文化人類学について解説していただいたことが人生の大きな糧になっています。「ANTHROVISION」第一章の文化人類学への紹介の中にベンジャミンウォーフ、マリノフスキー、レヴィ・ストロースなど当時西江先生に教わった名前がでてきて、大学の頃のしょぼくも甘酸っぱい思い出が蘇ってきました。

たくさんの言語を使い、アフリカの森の中を闊歩してずっと長生きされるとおもった西江先生ですが2015年に惜しくも逝去されました。先生が研究し話されたことが「ピジン・クレオル諸語の世界」として刊行されていて、さまざまなエピソードとともにしるされています。まさに本を開くカルチャーセンターの中で聞いたあの声が響いてきて40年前にもどる気がします。それがもったいない気がして第一章しか読んでいません。いつか時間を作ってゆっくり天の声、いや森の声を聞くがごとく読みたいと思っています。