今日午前中いらっしゃったお客さまがオーダーサロンタナカの前身「田中羅紗店」の名入りの風呂敷を持ってきていただいた。そのお客さまのお祖父様は名古屋、千種区でテーラーだったそうで、きっと大事にしまってあったものだろう。昔は名古屋に何百軒もハンドメイドのテーラーがあった時代があり「田中羅紗店」はそんなテーラーに紳士服地を販売する問屋だった。名入りの風呂敷はお世話になったテーラーに販促のために配るためのもので今で言う「ノベルティ」。このブログでも以前2度ほど古い名入りの風呂敷の話題を書いたことがある。かってテーラーはこの風呂敷に紳士服地をつつみ馴染みの客の家に行きスーツのオーダーをもらっていた。今回持ってきていただいたのは「ガニヤンテックス」と文字が入っている。グーグルでしらべてもさすがに「ガニヤンテックス」のことを知ってている人など誰もいない。だがわたしは田中羅紗店の長男として生まれその後もこうやって洋服屋をしながらこの場所で60年暮らしているのでその名前も由来もほぼ正確に覚えている。「ガニヤンテックス」はもうとっくに無くなった「飯田貿易」という会社がリリースした日本製の紳士服地で、個性的な柄が多く昭和40年頃は「田中羅紗店」の人気素材だった。ここの社長がコンバティブルの大きなキャデラックに乗っていたのをうっすら記憶している。

しかし50年の前のノベルティがまわりまわってまた当店に戻って来るとは亡き父もきっと驚いていることだろう。

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保存がよく新品同様の風呂敷でした。