2日目のお昼はメトロポリタン美術館

ガーメントディストリクトを見学したあと、昼からはセントラル・パークの中程、フィフスアベニューにあるメトロポリタン美術館に行きました。

メトロポリタン美術館の前には多くの人が集まっています。入場券はウェブで事前に買っていましたが、長蛇の列に並べというので最後尾に。並びながら気づいたことはマスクしている人は一人もいません。100パーセントマスクなしの人の群れを見て、ニューヨークでコロナは完全終了したことを実感しました。

事前にウェブでチケットを買ったのが功を奏してスムーズに入館はできたものの、巨大なメトロポリタン通称メトはどこからみたら良いか迷います。まず、階段で2階に登り得意種目のイタリア・ヨーロッパ絵画を探しました。しかし部屋が見当たらないまま19世紀以降の印象派を含む絵画を最初に見ました。近代が多いのはMOMAだとおもっていたのでメトにも素晴らしい作品が揃っています。

ゴッホの肖像画はアクリルで大切に守られて
ゴッホ
スーラ
シャガールの名作
このミロもすばらしい
Kくんはこのジョルジュ・デ・キリコの展覧会をプロディースしたことがあります。
5枚あるベックリンの「死の島」の一枚がメトに。

面白いのは時々初期のピカソが展示の中に点在していること。並んでいる絵の中で、お、いい絵だなと思うとPablo Picassoとあることがよくありそんなピカソ探しも楽しい。

パブロ・ピカソ ラパン・アジル
キュービズムじゃなくてもピカソはすぐわかる

それからイタリア・ヨーロッパ絵画ゾーンは23年秋まで閉鎖とわかりちょっとガッカリ。ただカラヴァッジョの「リュート弾き」「音楽家たち」やラトゥールは昨年日本に巡回してきたメトロポリタン展で見たので、まあしょうがないかと諦めました。アジアゾーンの日本ゾーンは仏像が主。その中に魯山人の良い皿がありちょっとほっこりしました。

魯山人の素敵な皿。この良さがわかるアメリカ人も素敵。

それからアメリカ合衆国絵画を堪能し、エジプト美術でもと思った時にベラスケスを発見。ローマ、ドーリア・パンフィーリ所蔵世界最高の肖像画といわれるイノチェンティ2世肖像画の別バージョン(習作にしてはグレード高い}、黒人奴隷を画家にして開放したという逸話のある「フアン・デ・パレ」も見ることができました。

ディエゴ・ベラスケス イノチェンティ2世肖像画の別バージョン
ディエゴ・ベラスケス フアン・デ・パレ ベラスケスの助手をしていたこの黒人奴隷が才能あるとわかりベラスケスの尽力で開放したそう。

その地下に閉鎖ゾーンにあると諦めていたフェルメールの5作を発見、ちょっと落ちていたテンションが再び上がりました。思いのほか人も多くなくゆっくり貴重なフェルメールを楽しみました。

フェルメール 信仰の寓意
フェルメール 水差しを持つ女
フェルメール 少女
フェルメール リュートをチューニングする女
フェルメール 眠る女

エジプトゾーンはミイラを入れた棺や神像など豊富な所蔵品があります。ちょっとインディアナ・ジョーンズを思い出したり。

メトの巨大な空間に巨石でできたデンドゥール神殿がありました。どうしてこんな神殿が丸ごとここにあるのかなど考えると興味深い美術のイメージトレーニングを楽しみました。わたし的に一番嫌いな美術館は大英博物館。ギリシャ人の宝アテネ、パルテノン神殿から力ずくで剥がし英国に運んだ「エルギン・マーブル」を見るたび悪い「気」を感じます。大英博物館にあるとみんなが楽に来て見られるとイギリス人はうそぶいていますが盗品は盗品、ギリシャに返還するべき。もし伊勢神宮の本殿を盗んで大英博物館に展示してあったらどう感じるのでしょう。それと違い、このデンドゥール神殿は、アメリカ政府がヌビアの遺跡保護を支援した感謝の印として、エジプト政府からアメリカに贈られたものです。神殿は、解体されなければアスワン・ハイ・ダムによってナイル川に水没する運命にありました。やはり悪い「気」はなく、メトでは穏やかにデンドゥール神殿は鎮座ましましています。やはり所蔵する経緯は大事です。

デンドゥール神殿前でのんびりする人たち

今夜は五番街でレバノン料理

メトではお昼すぎに小さなキノコタルトを夫婦で半分ずつた食べただけでしたのでお腹が空いてきました。夕食はKくんが予約してくれた5番街のクールなレバノン料理店「イリリ」で冷えたロゼワインを飲みながら素敵な夕食を楽しみました。

クールな内装 五番街のレバノン料理店
なすのペーストを揚げた薄いパンにつけて
美味しかったタコの一皿