旅が暗転

その知らせが来たのは7月9日(日)、ナッシュヴィルのホテルグランドハイアットでの朝食の時。今晩7時発のニューヨークに帰るデルタ空港便は欠航しますとのショートメールでした。午後4時に切り変えてくれというので帰りが早くなったなあと思っているとなんと次の日の午後4時!なんでこうなったんだろうと、見るとほかのフライトも軒並みキャンセルです。その日は雷雨気味だったのでたぶん天候の具合だろう、欠航するくらいだからそれからもっと悪くなるのかなあ、ハリケーン来襲など天災かもと危惧しました。

来たメールはこれ。

それよりひとつ前の今日のデルタ便を見ると4席あったので、ネットで買おうとモタモタしていると、最初一席4万だったのがしまいに18万に高騰、そしてソールドアウトです。電話でNYにいるK君に相談して電車で帰るのはどうかなと聞くとアメリカでは電車網が未整備のため100%無理だとのこと。気持ちは悪い方に落ちていき、最終的には南部であるテネシー州ナッシュヴィルから映画「グリーンブック」のように乗り捨てのレンタカーでとぼとぼ帰ることも考えましたが、日本から国際免許も取得してきませんでした。万事休す。

盛り上がっていたミュージックシティナッシュビルへの訪問のハイテンションな気分は真っ逆さまに暗転です。妻がウェブサイトで明日朝7時発ニューヨーク第三の空港であるニューアーク着のLCC、スピリット航空便があるというので、聞いたことのない飛行機会社だなあと思いながらとりあえず片道一人41000円なので押さえることにしました。

ナッシュヴィルのホテルは延泊手続き、ニューヨークのホテルはキャンセルするなど、朝から手続きにおおわらわ。完了した頃にはグッタリして延泊したホテルの部屋で午後2時までカーテンを閉め寝込んでしまいました。

でもしかしせっかくはるばる来たナッシュヴィル、ここでの時間は貴重です。カントリーミュージックミュージアムやホンキートンク訪問など、気分を入れ替えて、残り少ないミュージックシティでの短い滞在を楽しみました。

ナッシュヴィルでの残った時間はホンキートンクを楽しむ。Roberts western world

そしてホテルに帰ってベッドで寝ていたところ明け方の2時過ぎプロプルとスマホが鳴るので見ると、スピリット航空からフライトキャンセルのお知らせ。まあ聞いたことない航空会社だからそんなこともあるだろう、どうにかなるさと投げやりな気持ちで、デルタのフライトインフォメーション見ると、何故か、午後4時だったフライトが早朝7時半ナッシュヴィル空港発、アトランタ経由ニューヨークラガーディア空港昼の12時半着に変わっているのではありませんか!

これは渡りに船だとウェブチェックインしようとするとシステムエラーでできません。とにかく飛行機に乗ろうとナッシュヴィルのホテルを早朝5時にチェックアウトし、ウーバーで空港に。

空港のカウンターに向かうとまだ座席が決まってないとプリントされたボーディングパスを渡されて席はゲートカウンターで決めてくれとのお言葉。搭乗前検査を経てまずアトランタに飛ぶデルタのゲートに行くと人だかり。オーバーブッキングという言葉が頭をよぎります。スタッフは600ドル払うから後の便にするボランティアを3人募集すると何回もアナウンスしています。乗れないんじゃないかとヒヤヒヤしましたがなんとか席は取れました。

じごくのさたもなんとか。

そういえばナッシュヴィルニューヨークの国内線は往復普通席4万円、ファーストクラス7.5万円とあまり差がなかったのでKくんのすすめもあって今回はファーストを買っておいたのです。このプライオリティがこのカオスの中に席確保できたのかもしれません。

ちなみに空港でキャンセルの連絡があったスピリット航空の便をみるとなんと普通に飛んでいます。たぶんオーバーブッキングでわれわれは切られたのでしょう。やはり安もんのLCCはやめたほうがいいという貴重な経験。今日調べてみるとスピリット航空なんと全米顧客満足度かなり低いそうです。くわばらくわばら。

この便に乗れさえすればニューヨーク、ラガーディア空港に帰れる。

割り当てられた席はファーストを買っておいたのに普通席でした。でもこの際席さえあればノー文句ですね。アトランタまであっという間に着き、アトランタのゲートカウンターの前にはまた人だかり。でも並んで席を取ると今度は最前列の広い席が割り当てられました。

これでニューヨークに帰ることができるとゆったり席に座って、眠ろうとしていました。ところがフライト中なんかすごく揺れるのです。その揺れはずっと続きました。そしてデルタ社からフライトインフォメーションという謎の白紙メールが届きます。ああこれは到着地変更だなぁ、フロリダかボストンかどこに飛ぶんだか。何度も機長がアナウンスします。早口でよく聞き取れないですしどうせ悪いことしか言っていないはずなので聞く気も起こりません。わたしは気が気ではありませんでしたが妻はずっと寝ています。

2時間くらい揺れながら飛び、意を決して妻を起こし、たぶん別の空港に着くと告げました。妻は驚き窓の外を見ると海岸線に家が並んでるのでフロリダかなあと思いながら座席のディスプレイで確認するとラガーディアまで3キロの表示!やっとニューヨークに帰れるとホッとして着陸した時機長に拍手を送りました。アトランタ経由でしたがトランクも無事到着。これもプライオリティタグのおかげだったかもしれません。

おーデルタ、とりあえず、帰ることが出来てTHANK YOUと言おう。

原因を考えると

結局悪天候でもないのにこのキャンセルの嵐、なぜだったかと考えてみますと、アメリカの航空会社はコロナ禍で旅行需要が急減した際、スタッフを大量にレイオフ(首切り)したようなのです。そしてコロナが終わり、スタッフに戻ってきてと頼んでも思ったように戻ってこなかったというのが原因ではと言われています。このようなフライトキャンセルが日常茶飯事で行われているようでアメリカ国民はとても困っているようなのです。日本の航空会社はレイオフなしで耐えていましたからコロナ禍が終わって今、以前のように通常運行されています。所変われば状況も変わるということですね。お金で買えない貴重な経験をいたしました。