当店のスーツは私どもが選んだ日本国内の一つの縫製工場で約30年来お仕立てしています。工場では工程ごとに優秀な技術者がミシンを使い縫っていますが必要な部分については手作業の工程を織り交ぜながなら仕立てています。私どもはメンズのスーツの上着、ジャケットの胸の箱ポケットは一番目につくところだと考えています。小さな部分で一般の方にはほとんどわからないとは思いますがやはり人間に例えると顔のまんなかでまず目が行く場所、ここの部分の仕上げにはちょっとしたこだわりをもっています。箱ポケットの一番安価な仕上げ法はミシンで上から叩き付ける縫い方。そして中間程度の価格の一般的なスーツに多いのは千鳥ミシンでマツるやりかたです。当店のメンズのスーツ、ジャケットは手間とコストがかかりますがハンドメイドの洋服職人がする方法である「手マツリ」で仕上げています。それが一番美しく仕上がるからです。

形状はなだらかなカーブを描くバルカポケットを採用しています。バルカとはイタリア語で小舟のことで中心がすこしだけ下がった形です。洋服は何年か着るとその自らの重みでポケットが下がり自然なカーブが付いてきます。これを新品のスーツに施すと「ユーズド感」「アンティック感」のような自然な感じが出るのです。また自然な丸みがスーツ全体にまろやかな印象を与えるという効果もあるでしょう。

ちょっとした優越感
もしあなたがスーツの胸ポケットの「手マツリ」「千鳥ミシン」「ミシン」の区別が判別できるようになったらあなたの周りのスーツ姿の人を見回してみてください。 ほとんど9割近い人のスーツの胸ポケットが「千鳥ミシン」か「ミシン」で仕立ててあるのに気がつくはずです。使い勝手に差はありませんが当店で仕立てた方はほんのちょっとの優越感をあじわえるはずです。

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当店のスーツの縫製を担当する工場で。胸箱ポケットを手マツリで仕上げる工程。拡大して確認していただくと分るが、まず白い糸でしつけミシンを打って縫う場所を安定させてからそれから手でマツリ付ける。その後しつけ糸を取り除くとうつくしい箱ポケットが完成する。縫製工場と言ってもブラックボックスのような機械に入れると向こうからでてくるわけではない。高い技術を持つオペレータがパーツごとに担当を決めて縫っていく。

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当店スーツの胸の箱ポケット。手マツリなので端が美しく丸くなっている。形状はバルカポケット

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(参考)千鳥ミシンで仕立てたポケット

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(参考)ミシンで上から叩き付け箱ポケットを作る縫い方。ハシにたて2本のミシン目が見える。