ピッティインマジネウォモの報告はかなり多くの写真を撮ったので写真を整理しながら帰国したらすぐすることにする。その前にフィレンツェ案内について書いてみる。

ピッティの会場に長時間陣取り、ブースと展示されたものとそして参加した人をながめた。午後4時に会場を後にして裏地をいつも買い付けているマリックのアンドレアに会い新しい裏地を仕入れて勘定をすませ、すこし買い物をした後、夕方御幸毛織のスタッフ二人と合流。その中の一人のテキスタイルデザイナーOさんはフィレンツェが初めてだったため食事まですこし時間があったのでフィレンツェの歴史的地区を案内役を買ってでることにした。なにしろフィレンツェはもう15回以上も訪れている。ピッティの合間に足しげく美術館に通っているし、行ったことのある場所の歴史を学ぶことは好きなので本も読んでいるのでそこそこ説明できるつもりになっている。
駅前のサンタマリアノベッラ教会のすぐ近くのホテルをでて通りを歩いていると通りの建物の影からとつぜん巨大な花の聖母大聖堂サンタマリアデルフィオーレが姿を表す。これがフィレンツェ観光の始まり。大聖堂はあまりに巨大でまた建物がぎりぎりに建っているのでそのすべての姿をみることはできない。視界一杯にひろがる白とピンクと緑の大理石に彩られた大聖堂のファサードを初めての目の前にすると誰もが言葉を失う。こんなすごい建物どうやって作ったのと疑問がわいて来る。見事なバランス感で建つ洗礼堂、大聖堂、鐘楼をブルネレスキ、ギベルディ、ジョット、ベロッキオなどが苦労を重ね仕上げることでルネッサンスが花開いたともいわれる。わたしも今回改めてこの建物をながめ17年前初めて見た時の衝撃を思い出した。
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小路から巨大な大聖堂が姿をあわわす。
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ギベルディの天国の扉。レプリカ製作費用を茂登山さんが出した。GOOD JOB!
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ヴェロッキオの工房が金の球と十字架を虚空にそそりたつ丸屋根の上に取り付けた。ダビンチも完成まで力を注いだ。
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われわれの同業者 羅紗組合会館
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新市場のロッジアにあるいのしし、触ると幸せになるとの事で鼻がつるつる
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台座にも凝った彫刻が施されている。

共和国広場を通りわたしも日本で羅紗組合の一員でもあるのでなんだかけっして他人と思えない羅紗組合会館をすぎ新市場のロッジアで見事なイノシシの彫刻の頭を撫でてからシニョーリア広場に細い道を通って向かう。細い曲がった暗い道からシニョーリア広場に出たときひろがるパノラマは息をのむ光景だ。今でも市庁舎として使われているフィレンツェ市庁舎のまえにたつダビデの像はレプリカとは言え建物の前のバランス感はすばらしい。ミケランジェロが彫ったこの大理石の像はフィレンツェ共和国の象徴として長い間世界中の人から親しまれている。その横を入ると世界一内容の濃い美術館として知られるウフィツイがある。
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小路を抜けるとこの光景が広がる。

ここからすこし戻ってにぎやかな通りを歩く初めてきた人は歩き続けるとなんだか宝石屋の多い石畳の坂道だなと思うことだろうが実はポンテベッキオ(古い橋)を渡っているということを知った瞬間とても驚く。橋の中程からひたすらゆったりゆったり流れるアルノ川やイタリアの空の色を眺めるとき幸せを感じない人がいるだろうか。そこから川沿いを歩くとポンテベッキオの全えいが見えてくる。この同じ景色を500年前ルネッサンスの時期を時期を生きた人も眺めたはずだ。川沿いの道からはなれ大通りを歩くとそこがフィレンツェ一番の目抜き通りトルナブオーニ。エレガントさを競うブランド店が並ぶが一番エレガントなのはストロツイ宮殿の石の盛り上がり方かもしれない。まるで石垣のようにもっこり盛り上がった石は王者の象徴でもあるだろう。この通りにある一杯飲み屋プロカッチはいつも行く店。トリュフのクリームをはさんだちっさいパニーニを食べながらトスカーナ産のワインをいただくと 旅につかれた心をいやしてくれる。10年以上ここで働く日本人女性もいるから気軽に頼めるのも良い。
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この道をあるくと自然に橋を歩くことになる。
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ヨーロッパの昼は長い。午後九時の夕焼け空に映えるポンテベッキオ
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プロカッチ名物 トリュフのパニーニと白ワイン。
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ストロッツイ宮殿の豪壮な壁
ざっとこれだけ歩いたらかなりお腹もすいてきた。予約したトラットリアには地下の石室のようなおもむきのある空間が用意されていた。あのビステッカアラフィオレンティーナを一人前ずつ頼む。焼き方はアルサングエ、血のしたたるというイタリア語がレアを意味する。トスカーナのキアーナ渓谷の名がついたキアーナ牛は日本のステーキと違い決して柔らかくないが旨味が深い味わい。鋭いナイフで小さく切りながら塩とレモンでいただく。 炭火で焼いたチャコールステーキだから脂が落ちて決してくどくなく大きいかたまりでも結構な量を食べることができる。 赤ワインを一口含み、口の中でソースのごとく合わせると味わいがさらに深くなる。はじめて食べたO君の笑顔を見ているとわたしの美味しさもさらに深まるというものだ。大ぶりの牛肉焼をいただき最後に店のおごりでレモンチェッロがでてきた。飲めないスタッフのひとりの代わり
に1杯半も飲んでしまった。ほろ酔いで暗い細道を腹ごなしと酔いさましに歩く。暗闇に浮かぶメディチ家がプライベートで建てたメディチ家礼拝堂とファサードになんの飾りもない付属した教会の前を通る。いつもは屋台がたちならび人でごった返す市場の前を歩くがその時間には人っ子一人いない。ふらふら歩いているがさすがにフィレンツェだけは道を間違えることはない。最短距離で彼らが泊まっているホテルにおくっていったらもう夜の12時近く。サンタマリアノッヴェラを月が照らしていた。
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軽くラグーのペンネ
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サラミ盛り合わせ。
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フィレンツェ風ステーキレア
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でっかい肉にうれしそうな青年。
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月がサンタマリアノヴェラ教会を照らす夜。